米国・闇へ(NHK番組「民主主義」の一部分)


 9.11を背景に、チェイニー副大統領やその実行者達に指導され、アフガニスタンイラクグアンタナモなどで行われている不当な人身拘束やそれに伴う不法な尋問や虐待の問題を扱った秀作。副大統領の情報戦略のダークサイドがやがて現場で拡大解釈され、また政権もそれに乗じて人権の侵害を加速化させていくプロセスを再現している。また実際に行われている尋問や虐待の様子は凄惨そのものである。尋問者を四時間立たせることを認めさせる書類にラムズフェルドがサインをした横に、「私は10時間(時間不正確)立って仕事をしている」とコメントを書き加えるその精神構造はどんなものか。その軽さに暗澹とした気分になる。


 もし容疑者に厳しい尋問をしないで数十万人が犠牲になったらどうなる?と政府の立場を擁護する発言に対して、元FBIの捜査官が「厳しい尋問をすれば相手が死んでしまうだろう。また厳しい尋問をしても求めている情報が得られるとは限らない」とし、容疑者が自白しないと数十万人がなくなるようなケースはあまりに極論でもある(議論をそらしている)、と述べている。僕もそう思う。


 現場の兵士らだけが虐待などで訴追の対象になっても、政権の要職にある人らは法律を改正して責任を免れたことにもこのドキュメントは「ペテン行為だ」とする意見を紹介し批判的である。またいまだに何万人もの人々がいわれなき容疑で身柄を拘束されている事実を報道してもいる。


 仮にこのような拘束や尋問・虐待がアメリカの「安全」に貢献したとしても、それは幻想にすぎず、アメリカの内部と外部において深刻な反感と不安を生み出すと警告している。


 以降の番組は仕事があったので録画。後日みる予定。