ケネス・ロゴフ論説(早読み『週刊東洋経済』)


 econ-economeさんが話題にしていた記憶があるケネス・ロゴフの論説http://www.project-syndicate.org/commentary/rogoff34が翻訳されて月曜発売の『週刊東洋経済』に。中央銀行はインフレ動向や生産高などの情報を完全に把握しているわけではないから、資産価格の動きなどの市場の諸指標も活用していくほうが望ましい、という主張でしょう。この論説は今週号の翻訳の末尾にも注記されているようにFRBの政策転換以前のものだから、FRBは資産価格の乱高下が将来の成長率リスクになるとして、ロゴフの提案のように資産価格の情報を活用したことになるのでしょう。FRBは明示的にインフレ目標を採用していないので議論は若干ずれますが、伸縮的インフレ目標と資産価格の変動を考慮した金融政策の枠組みが、バーナンキらの議論を発端のひとつとして発展していることはすでにこのエントリーでも言及しました(もっともバーナンキの理論でも資産価格の変動が実体経済に今回のようなリスクを与えるという懸念が強いならば金融政策に考慮されるべきことは排除されないでしょう)。


 ところで中央銀行が市場参加者のインフレ期待や真の自然利子率やらなにやらを完全に知りえないことを考慮して、その際には中銀のクレディビリティが公衆のインフレ期待を安定化させる上で実に重要な働きをするという理論的な論文を青木浩介氏らが書いています。僕はまだアブストラクトの部分しか読んでませんが。たぶん今週のロゴフ論説とも関連性が深そうなので時間ができる再来月以降に読んでみるつもりですが。


Kousuke Aoki and Takeshi Kimura
Uncertainty about Perceived Inflation Target and Monetary Policy, 2007