夏休みの読書おススメ


 リフレ派ご推薦ではありません。近刊でもございません。この両者の条件をみたすベスト3は近刊の『週刊東洋経済』の上半期経済書ベストであげましたので、そのときまたご紹介。


 ここではせっかく長期の休みなのですから根気だして読む、しかもできるだけ準備体操なしで読む、という基準でのものです。そしてどっちかというとミクロ経済学の話題の本を以下で三冊おススメしたいと思います


1)ミルグロム&ロバーツ『組織の経済学』


 ミクロ経済学の基礎から実際の企業組織の事例、最新の契約理論のコアまで、ほとんど数式を用いずに、なおかつ応用可能性を含めて話題を網羅した画期的な本だと思います。もう出てからだいぶたつのでいろいろご批判もあると思いますが、僕はこの本の価値は古びていないと思います。


組織の経済学

組織の経済学


2)コルナイ・ヤーノッシュ『コルナ・ヤーノッシュ自伝』


上のミルグロムとロバーツの本のテーマでもある経済的インセンティヴの問題を、自身の来歴と旧共産主義圏諸国の体験をもとに、書き綴られた20世紀の重要なメモワールです。


コルナイ・ヤーノシュ自伝―思索する力を得て

コルナイ・ヤーノシュ自伝―思索する力を得て


3)ジョン・ヒックス『価値と資本』


 古典と文庫本を一冊。この本の上巻はいまでもミクロ経済学の基礎を理解する手引きになるはずです。下巻は最近のマクロ経済学における期待の問題を考える上で重要かも。まさに夏でしか読めない贅沢な時間をすごすのにふさわしい本。


価値と資本〈上〉―経済理論の若干の基本原理に関する研究 (岩波文庫)

価値と資本〈上〉―経済理論の若干の基本原理に関する研究 (岩波文庫)