長野・大岡・馬場日銀レビューシリーズ&IMFレポート

 なるべく土日は経済の話題はしないようにしてますが、以下は最近関心を深めているいわゆる円キャリートレードとか「海外投資家」分析もので読んでるもの。


 日銀レビューシリーズの以下の三著作は勉強になった。特に最初に上げたものが一番、マクロ経済的な見通しへの接続がすっきりしていた。


長野哲平・大岡英興・馬場直彦「円金利市場における海外投資家の動向について―― 量的緩和政策解除以降を中心に ――」http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev07j02.htm

 海外投資家の取引拡大が、日米間の長期金利の連動性の強まりの中で、マクロ系の海外投資家を主導とし、ヘッジファンドをフォロワーとして自己実現的にこの金利の連動性をさらに高めていくという指摘は面白かった。


長野哲平・大岡英興・馬場直彦「量的緩和政策解除以降の短期金融市場における裁定行動―― 為替スワップ・ユーロ円市場を中心に ――」
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev07j01.htm

大岡英興・長野哲平・馬場直彦「わが国OIS(Overnight Index Swap)市場の現状」
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev06j15.htm


 それとIMFから出たばかりの次のレポートも相変わらずわかりやすく面白い。『Global Financial Stability Report Market Developments and Issues April 2007』http://www.imf.org/external/pubs/ft/gfsr/2007/01/index.htm特に第一章の28頁の図表1.24をみると、竹森先生の今月の『中央公論』の論説ではないですが、このレポートでも注意を促しているように「円キャリトレード」の大きさをとりあえず表している黄色い部分(日本の民間銀行から海外在住者への資本流出項目<その他の純投資とデリバティブ>)の増加傾向は、いまから10年ほど前のアジア経済危機だとか経済騒乱の年に似ている、というもの。あとここのhttp://www.imf.org/External/Pubs/FT/GFSR/2006/02/pdf/chap1.pdfの17ページのボックスも参考になりそう。このレポートでも書いているけれども円キャリートレードの動向はつかみにくい。世間?ではとりあえず、http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/call/call0703.htmの業態別(外国銀行)の平残<取り手:全市場>をみるとわかるという。で、有担、無担をあわせると先月よりも多い9兆3744億円。先月は8兆9235億円で75年度以降の最高だったけれども、これが仮に円キャリトレードの規模をなんらか表すのならば、世界同時株安の円キャリートレードの巻き戻し効果はほとんどない、ということになるのでしょう。


 しかしこういう取引ものwは妙にオタクぽい感じで、マクロ経済の話題とまったく切り離してみるとそれはそれ嵌る 笑。