International Herald Tribune(The Global edition of THE NEW YORK TIMES)でK-POPについてコメント

ちょっと忘れてましたw 7月27日付の同紙でコメント。記事はIn Japan,pop stars open market to Korean waresというもの(ブルームバーグで配信されたものの転載記事)。

“The Korean boom is a tailwind for maide-in-Korea products,”said Hidetomi Tanaka,an economics professor at Jobu University in Isesaki,Japan.Starting with middle-aged women who watched Korean soap operas on TV,it has grown to include young men and women listing to K-pop,Mr,Tanaka said.

とりあえずいまの僕の関心のひとつは、日本の地下水脈としての嫌韓流、そして上記の企業の宣伝ツールとしてのK-POP、それにある種のインテリジェンス活動ですねw

稲増龍夫「今を読み解く アイドルの社会論」in『日本経済新聞』

Twitterで江東脩平さんに教えていただきました。ありがとうございます。この稲増氏の論説は、AKB48ブームやK-POPブームを背景にした最近のアイドル研究書の流れを展望したものです。僕の『AKB48の経済学』も紹介していただいています。稲増氏は1989年に『アイドル工学』を出版されてこのアイドル研究分野の先駆けでしたが、90年代のアイドル冬の時代をうけてその後に後続の研究がなかった状況を冒頭で書かれています。実際に僕も自分の本を書くときには先行する本が皆無に近く手探りですすむしかありませんでした。

それが先のグループアイドルのブレイクをうけて一挙に増えました。稲増氏が紹介し分析しているのは、太田省一氏『アイドル進化論』、僕の『AKB48の経済学』、朴倧玄氏『KARA、少女時代に見る「韓国の強さ」』、宮本直美『宝塚ファンの社会学』です。これは私見ですが、拙著が今回のアイドル研究書ブーム(?)の一番バッターではないかと思います。ちょうど今頃、企画をたてたわけですが、当時はAKB48とはいえ、それが(写真集などではなく)広くファン以外の人に読まれることを目的とする本になるかどうかわからない「賭け」みたいなものでした。

今や社会現象化するほど絶大な人気のAKB48は、CD売上げの低迷が続く中、今年になって「Everyday、カチューシャ」で久々のミリオンセラーを記録したが、そのビジネスモデル=マーケティング戦略を解題したのが田中秀臣AKB48の経済学』(朝日新聞出版、10年)である。「デフレ不況で増殖する『心の消費』」、「嫌消費」、「集団化するリスク分散」「熟練型年功序列」などの経済用語を援用しつつ、デフレ経済の申し子であるAKB48にデフレを脱却する牽引力を求めるのは幻想としながらも、人材市場における経済弱者である「若者」のサクセスモデルとして高く評価している。

と稲増氏に解説していただきました。僕は『AKB48の経済学』でふれた「心の消費」から物語の経済学を、さらにコーエンの『創造的破壊』の解説、今度でる『3.11の未来』での小松左京物語論で展開していっています。それもこれもAKB48=アイドルとの出会いがなければ関心を深めることがなかった問題ではないか、と思っています。アイドル研究はまだまだ始まったばかりで、先駆者の稲増氏をはじめ多くの研究者が分野横断的に語りあってもいいのではないか、と思っています。

ちなみにアイドル研究書やその関連文献をいくつか補遺させていただきますが、西森路代さん『K-POPがアジアを制覇する』、いしたにまさきさんと福嶋麻衣子氏の『日本の若者は不幸じゃない』、岡島紳士氏と岡田康宏氏の『グループアイドル進化論』が思いつきます。また音楽市場のライブ化をとらえた津田大介さんと牧村憲一氏の『未来型サバイバル音楽論』、宇野常寛さんの『リトル・ピープルの時代』、真実一郎さんや斉藤環氏の評論、デフレカルチャー論の速水健朗さん、そして速水さんたちとの共著(『バンド臨終図鑑』など)もある栗原裕一郎さんのアイドル批評なども重要ですね。本当に広がりがあります。

稲増氏は今後のこのジャンルでの70年・80年代生まれの若手研究者のさらなる開拓に期待しています(ちなみに上の西森、岡島、岡田、津田、宇野、真実、速水各氏はその世代です)。でもまだまだおじさん=僕も頑張りますよw

以下はブックガイドを兼ねたアマゾンコーナー

アイドル工学

アイドル工学

アイドル進化論 南沙織から初音ミク、AKB48まで(双書Zero)

アイドル進化論 南沙織から初音ミク、AKB48まで(双書Zero)

AKB48の経済学

AKB48の経済学

KARA、少女時代に見る「韓国の強さ」 (講談社+α新書)

KARA、少女時代に見る「韓国の強さ」 (講談社+α新書)

宝塚ファンの社会学―スターは劇場の外で作られる (青弓社ライブラリー)

宝塚ファンの社会学―スターは劇場の外で作られる (青弓社ライブラリー)

K-POPがアジアを制覇する

K-POPがアジアを制覇する

日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)

日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)

リトル・ピープルの時代

リトル・ピープルの時代

朝日新聞書評:タイラー・コーエン『創造的破壊』

 本日の朝刊で書評が掲載されています(評者:山形浩生)。「大風呂敷」とこの時期にいわれるのは名誉ですw。ぜひご一読ください。

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

『震災恐慌!』ネット書評一覧

 上念司さんとの共著『震災恐慌!』が出てすこし経ちましたが、政府と日本銀行の経済無策による円高=デフレ不況、震災の長期的な経済停滞の継続が、本当にしゃれにならないほど現実味を帯びてきました。まずいと思います。円高是正の介入などというものも、日本銀行が相当に長い期間で、大規模な金融緩和を伴わないかぎり、おそらく円高トレンドを防ぐことはできないでしょう。下の「バカバカしい新聞論説雑感」にも書いた論調がマスコミを中心にあるかぎりその理解を正すことは相当に困難です。あきらめないで頑張りますが。昔より相当ましな状況ではこれでもあるんですから。

 さて恒例にしていますが、自分の本のネット感想を集めることを『震災恐慌!』ではちょっと怠けていました。はてなキーワードGoogleの検索上位のみで拾いました。もし忘れてるものがあればご指摘ください。それとTwitterについては拾いきれてません。すみません。

 昨日でも斉藤淳先生から下のようなありがたいTwitterコメントいただきました。また最近では松尾匡さんの詳細な書評もいただいています。感謝です。


http://twitter.com/#!/junsaito0529/status/99827157156634625

田中秀臣・上念 司 『震災恐慌!~経済無策で恐慌がくる!』御恵投いただきました。戦前、デフレ政策で被った被害に学ばず、誤った政策を採り続けている当局の姿勢は、本当に腹立たしいものがあります。なお多くの方に知っていただくため電車で移動中など、人目のつくところで読んでいますw

極東ブログ
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/06/post-3922.html
Baatarismの溜息通信
http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20110727/1311735389
シノドスジャーナル(書評:片岡剛士)
http://synodos.livedoor.biz/archives/1785946.html
HIRAYAMA ASAKO JOURNAL
http://asakojournal.blogspot.com/2011_07_01_archive.html
taroyan155の日記
http://d.hatena.ne.jp/taroyan155/20110719/1311068418
百おやじの雑文・駄日記
http://nuhyakueco06.blog56.fc2.com/blog-entry-2367.html
毒書のススメ
http://blogs.dion.ne.jp/tacthit/archives/10278504.html
スクランブル交差点
http://ameblo.jp/hirosetonton/entry-10943907813.html
松尾匡「書評四点」
http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__110804.html
虹の向こうの青い鳥
http://fukukita.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/07/post_7237.html
オベリスク備忘録
http://d.hatena.ne.jp/obelisk2/20110525
あかいまことの日記
http://d.hatena.ne.jp/mktredwell/20110611
生活の記録
http://d.hatena.ne.jp/saka-san/20110626
akehyon-diary
http://d.hatena.ne.jp/akehyon/20110731

震災恐慌!?経済無策で恐慌がくる!

震災恐慌!?経済無策で恐慌がくる!

バカバカしい新聞論説雑感

 マスコミはいつまでたっても経済学以前というよりも常識以前の発言を繰り返していて本当に人をバカにするのもたいがいにしたほうがいいというレベルにまで達しています。Twitterで津西アキラさんに教えていただいたのですが、ある新聞の論説の一部に以下のような文章が。

「米国より信用力が低い国へと「格下げの連鎖」が起きる恐れもあり、先進国で最悪水準にある日本の財政も立て直しに向けた取り組みを迫られる。ドルの信認低下で円高に拍車が掛かると、日本経済をけん引する輸出企業の回復に水を差しかねない。」

 米国の財政不安⇒信用力低下⇒ドル安円高

ということだそうですが、こういう認識をもった同じ記者が「先進国で最悪水準にある日本の財政」ということを書いているので、この記者の文章は矛盾をおこすでしょうね。なぜならこの記者は財政不安がその国の通貨の信用を低下させ通貨安を発生させるということなのに、先進国中最悪の日本がなぜ円高なのかさっぱり説明していないことになるからです。つうか、単にドル高円安にかこつけて、日本の財政不安を煽ってるだけじゃないか。バカバカしい、かぎりです。