清野一治編著『金融・通貨制度の経済分析』

 早稲田大学の研究チームによる編著。本日頂戴しました。などと他人事のように書きましたが、これに寄稿していない自分の不覚を反省しなくてはいけません。この論集は中々、僕のツボに入った論文が多いです。藪下史郎・和島隆典「頼母子講から無尽会社へ」は、この種のテーマのたぶん本邦はじめてともいえる歴史と理論のきちっとしたサーベイだと思います。歴史的な検証はもちろんのこと、本論文では頼母子講の基本モデルを構築して、それでこの分野の主要論点をきちっと説明しているところが優れています。


 この論文に加えて、藤井良広さんの『金融NPO』、さらに栗原裕一郎さんの『音楽誌が書かないJポップ批評 Mr.Children』、それに山形浩生さんの論説、そして本書にある藪下史郎・松田慎一両氏のスティグリッツモデルを適用したマイクロクレジット論文をあわせてよむとさらにいい展望を得られるかも。


 さらにこの論文集には、小国マンデルフレミングモデルの現代的な展望を書いた編者の清野さんの論説もあり、これは読んでおくと、今日の政策論争を理解する基礎のひとつとしていいでしょう。


金融・通貨制度の経済分析 (早稲田大学現代政治経済研究所研究叢書)

金融・通貨制度の経済分析 (早稲田大学現代政治経済研究所研究叢書)

江弘毅『街場の大阪論』

 献本いただきました。どうもありがとうございます。「街場」というと内田樹さんを思い出しましたが、そのネーミングはこの人がもともとこの方がつけたようですね。大阪の贈与文化についてふれたり、くいだおれ太郎団塊の世代についてふれたりしていますが、全体的に軽く読めるのが持ち味な方のようです。僕は東京文化圏にどっぷりと漬かっている人ですので、濃い口の醤油味ぽい大阪論だった増田悦佐さんのあやしげな(笑)魅力につつまれた『大阪経済大復活』が好きだったのですが、本書は拾い読みした感じでは、薄口でだしが効いてるらしい(知らんけどw)関西風味のうどんの味がするんじゃないかと思います。食べたことないけど 笑。

街場の大阪論

街場の大阪論

DRAGONBALL EVOLUTIONとは猿の惑星かと一人呟く

 近所のシネコンで初日。鳥山明氏の原作とは別物で楽しめるかも、という発言を頭にいれて観賞。そもそもあまり僕は原作物でもオリジナルを意識しないでみれる人だと思ってる。しかし……あまりにもひどい映画だった。これくらいのちゃちな感じだったら、『ヤッターマン』のスタッフの方が数段ユーモアのある面白い作品をつくれただろう。


 mixiをやってるとこの作品も足掛け三年ぐらいひっぱるだけひっぱり、秘蔵映像だとかなんとか宣伝を小出しにして誘導したわけだが、作品の力が決定的にない。ある意味で、原作と比較して「ああ、こんなになっちゃって 笑」という楽しみ方しかできない。少なくとも映画館で見る必要はなく、スケール的にDVDで十分でしょう。しかし「大猿」があのサイズというのはひとつのジョークなんだろうなあ。違)。