清野一治編著『金融・通貨制度の経済分析』

 早稲田大学の研究チームによる編著。本日頂戴しました。などと他人事のように書きましたが、これに寄稿していない自分の不覚を反省しなくてはいけません。この論集は中々、僕のツボに入った論文が多いです。藪下史郎・和島隆典「頼母子講から無尽会社へ」は、この種のテーマのたぶん本邦はじめてともいえる歴史と理論のきちっとしたサーベイだと思います。歴史的な検証はもちろんのこと、本論文では頼母子講の基本モデルを構築して、それでこの分野の主要論点をきちっと説明しているところが優れています。


 この論文に加えて、藤井良広さんの『金融NPO』、さらに栗原裕一郎さんの『音楽誌が書かないJポップ批評 Mr.Children』、それに山形浩生さんの論説、そして本書にある藪下史郎・松田慎一両氏のスティグリッツモデルを適用したマイクロクレジット論文をあわせてよむとさらにいい展望を得られるかも。


 さらにこの論文集には、小国マンデルフレミングモデルの現代的な展望を書いた編者の清野さんの論説もあり、これは読んでおくと、今日の政策論争を理解する基礎のひとつとしていいでしょう。


金融・通貨制度の経済分析 (早稲田大学現代政治経済研究所研究叢書)

金融・通貨制度の経済分析 (早稲田大学現代政治経済研究所研究叢書)