中川さんの名著の角川文庫入りです。表題の70年代から80年代にかけての角川映画は、著者もそうでしょうし、僕ももちろんそうですが、自分の精神史でかなりの影響をうけた文化的出来事でした。中川さんの著作はその同時代的な意義と、今日からの再評価を加えて、日本の映画の現状の相対化にもつながる名著です。中森明夫さんの帯文もそのことを簡略に評価しています。中森さんも我々と同じ時代の人なのです。
また角川映画もそうですが、今回本書が角川文庫の仲間入りを果たしたことも、著者とともに喜びたいと思います。角川映画もそうでしたが、角川文庫もまた私たちの精神史の重要な核ですから。増補版はいくつか修正点がありますが、単行本刊行以降に行われた角川春樹氏とのインタビューがやはり気になります。と同時にそのインタビューでの角川氏の現状の日本映画への発言をもって本書は終わるのですが、そこに著者や私たち同時代人の何か無念さや、同時にそれを振り払って先にまだすすまなければならない、という覚悟めいたものを感じました。
ちなみに帯の写真が橋本環奈ちゃんであることが本当にうらやましく、それだけは許せません(笑)。
なお単行本のときの感想はこちらに。http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140505#p2
- 作者: 中川右介
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川マガジンズ
- 発売日: 2016/02/25
- メディア: 文庫
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