本書の後半部分はいままで数多くの古谷さんの著作を読んできた中で最も問題意識に秀でた、また独自の見解が展開されていると思う。それは旧来の「保守」、またはネトウヨとも「新保守」ともいわれる人たちの特質を描いたうえで、なぜこれらのイデオロギー的発言の中で、いわゆる貧困問題への関心やまた具体的な政策議論が欠如しているかを、するどく指摘している。高度国家論ー貧困の自己責任論ーマッチョイズムの戦後保守の三位一体論が、いまやネットなどを通じて先鋭化している状況に、古谷さんは警鐘を鳴らしている。また後半部分には、古谷さんの「新保守」(僕の言葉ではネトウヨ)に代わるものとしての、ソーシャル保守(先の三位一体論を批判的にみる保守の立場)の提唱と、古谷さんの価値判断の基準である「ボッチ」(群れることに距離を置く心性)倫理が展開されていてはなはだ面白い。
- 作者: 古谷経衡
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 新書
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