桜林美佐『誰も語らなかった防衛産業』/軍事チャンネル

 桜林美佐氏の『誰も語らなかった防衛産業』は知る人ぞ知るジャーナリズムの秀作だろう。防衛産業や自衛隊のことを語るのはリベラル的な人たちにはテーマだけで忌避されることが多いが、この書籍はそんな食わず嫌い選手権的な人たちにこそ読んでもらいたい一冊である。出版されたのは2010年だが、いまでもこの本の提起する問題ー日本の防衛産業の脆弱性(民間企業依存と買い手独占のもたらす功罪)には、日本の軍事的な抑止力がいかに脆弱なものであるかを知る上で極めて参考になるものがあるだろう。また「武器輸出三原則」の由来、その「修正」そしてそれらが日本の防衛産業に与える影響(当事者の三原則に対する意外な反応なども指摘されている)や、ひいては日本の軍事的抑止力にもたらす効果などが、著者の取材に裏付けられた視点から興味深くまとめられていてきわめて参考になる。

 チャンネルくららでは、桜林氏の「軍事チャンネル」(もっと題名を工夫してほしいのだがw)でも防衛産業論が展開されることだろうし、注目していきたい。

軍事チャンネルhttp://www.youtube.com/watch?v=4qXp7WPRch4

誰も語らなかった防衛産業 [増補版]

誰も語らなかった防衛産業 [増補版]