今敏の全短編を収録したマンガ。これはとても有用な一冊だ。そもそもどこにどれだけ書いたのか基本情報が入手しがたかったのでこのような編集にはとても感謝したい。
作品は大友克洋氏の影響が濃厚である。それはそれで非常に興味があり、日本におけるメビウスの波及効果のひとつとしても括る可能性を示唆している。メビウス自身もいまのテーマは「現実」と「ゲンジツ」(仮構世界)との区分が崩壊ないし反転するときのあやしげなものを描くことにあるだろうから。今の試みとメビウスの試みは共通するものがある。
短編の中では「わいら」が完成度も高く面白い。巻末に平沢進氏のインタビューが収録されていてこれも貴重な記録になるだろう。
- 作者: 今敏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/02/17
- メディア: コミック
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