「背理法」といっても別に数学の背理法ではなく、特別な経済モデルに依存しないで、ほとんどの人が納得「せざるをえない」論法のことです*1。クルーグマンの「流動性の罠」論文が非常に難しいとお感じの人は以下の岡田靖さんの英語論文を読むことをおススメします。クルーグマンの「流動性の罠」の核心部分を日本の経済データとともに非常に鮮やかに説明しています。英語だと読めないですか、そうですか。時間できたら下に言及した新保先生の主張と比較してどこかに書きますよ、日本語で 笑
Is the Persistence of Japan’s Low Rate of Deflation a Problem?
http://www.esri.go.jp/en/workshop/060914/okada02.pdf
岡田さんの基本的な論法の枠組みは、マッカラムの『マクロ金融経済分析』(邦題)で採用されている定常インフレ状態の比較(その移行過程としてマイルドなデフレが生じる)をもとに説明したものです。マッカラムの教科書ではこれを持続する低デフレではなく、移行過程に起きるインフレとして記述しています(だったと思う。記憶はいいかげんなのであとで研究室で確認する)。(補)読み返したらデフレのケースもマッカラムは文章で説明してますね。岡田論文はマッカラムの当該章の優れた応用例になるのでしょう。
- 作者: ベネット・T.マッカラム,Bennett T. McCallum,昼間文彦,金子邦彦
- 出版社/メーカー: 成文堂
- 発売日: 1997/06
- メディア: 単行本
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それと去年の終りだかに出た浜田宏一&岡田靖論文(英語)も必読(実はさっきみつけたばかりで読んでない。なぜこれが出たの教えてくれないの? まじに怒るよ 笑)でしょう。
Two Decades after the Plaza: A Package of Mixed Blessings*
https://nber15.nber.org/c/2007/trio07/okada.pdf
マッカラムの本の定常インフレのところ以外のちょっと難しいところを読むには数学の知識がちょびっと必要ですが、そのためには以下の本がおススメ。この本を読めるとマッカラムの他の専門論文は全部読める。
- 作者: 和田貞夫
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 1989/04
- メディア: 単行本
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それと最初の岡田さんの論文を読んで、僕は新保生二さんの一連の平成大停滞についての書籍を思い出しました。新保先生の業績は日本の経済学史の中でも再評価どんどんされるべきだと思う。
ついでなので英語で読めるリフレ派最先端論文。岩田先生のも昔いただいたのだがパソコンクラッシュでどこかに。
Two Decades after the Plaza: A Package of Mixed Blessings*
https://nber15.nber.org/c/2007/trio07/okada.pdf
Japan’s Great Recession (Yutaka harada &Shigeki Onishi )
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis080/e_dis077a.pdf
The Role of Preconceived Ideas in Macroeconomic Policy: Japan's Experiences in the Two Deflationary Periods,( Hamada, Koichi & Asahi Noguchi)
http://www.econ.yale.edu/growth_pdf/cdp908.pdf
Was the Great Depression the Watershed of Macroeconomics? (Masazumi Wakatrabe)
http://www.ires.ucl.ac.be/CONFERENCE/21_01_2005/Wakatabe.pdf
Understanding the Evolution of Macroeconomic Thinking: A Proposal(Masazumi Wakatrabe)
http://historyofeconomics.org/Conference08/papers/wakatabe.pdf
Is the Persistence of Japan’s Low Rate of Deflation a Problem?
http://www.esri.go.jp/en/workshop/060914/okada02.pdf
The Heisei Recession: An Overview. Koichi Hamada
http://www.esri.go.jp/jp/workshop/030918/030918hamada.pdf
*1:とはいっても納得しない人も多いでしょうね 笑 それだから経済学は興味深いわけですが。ただ国民にとっては迷惑なことかもしれませんけどね