福田のシュムペーター人物評

http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070807#p3

 
 上のエントリーでは、福田の考えとシュムペーターの考えの類縁性を「大学は建物ではない」という名言の知的土壌から書きました。そのときにうっかり書き忘れてましたが、福田自身のシュムペーターの人物評が最近公にされてます(福田徳三ールーヨ・ブレンターノ書簡1898-1931年 一橋大学社会科学古典資料センター、2006年(柳沢のどか翻刻翻訳・西沢保校閲))。


 福田自身は師のブレンターノとともにシュムペーターのことを、たぶん東京帝大招聘にからんで(シュムペーターは結局、東京帝大を蹴ってボン大学へ就職している)かなり辛らつに批判していたのです。


 ブレンターノ宛の書簡の一節


シュンペーターは我々を裏切りました。彼は抜け目ない人物だという先生の御予言は、まさに的中したのです。アモン(注 デビルマンの元の名前ではなく帝国大学に来た経済学の先生)教授は、少なくともシュンペーターよりも誠実な人物のように思えます」(1926年10月25日福田→ブレンターノ)。


 ところでこのブレンターノ・福田書簡は、完結した人間ドラマになっていて、一人の人間(福田)の夢と挫折を余すところなく伝えていて、読後感は人生の儚さと残酷さをいやになるほど知らしめる内容です。