大田俊寛『宗教学』

 宗教学についての総論に加えて、この分野の重要な基本書30冊の内容を、時には最新の文献情報を付加しながら紹介したすぐれた展望。

 特に「宗教」と「呪術」との関係、その各々が時代の変遷でどのような形をとっていったかを書いた「はじめに」は必読である。またフレイザーの『金枝篇』とデュルケムの『宗教生活の原初形態』のところも「宗教」と「呪術」の関係を共同体の流れでみるか、共同体/共同体外 でみるかの視点できわめて示唆に富むまとめである。さらにオウム真理教のテロをどうとらえるのかという今の日本の切実な問題や靖国神社の「みたま祭り」に対する見解など刺激的だ。

 ブックガイドの形式だけど宗教学の基本書として十分に使える。僕は大変に便利だった。

ジェイ・エイブラハム『限界はあなたの頭の中にしかない』

 打ちひしがれた境遇から、自分自身の「限界」を脳内から振り払うことで実際の可能性をひろげていった人の自伝的要素をまじえた「仕事論」とも読めますね。あまり知らない分野ですが、献本いただきありがとうございました。

限界はあなたの頭の中にしかない

限界はあなたの頭の中にしかない

村上裕一ストーリ原案&藤田康範監修&梅屋敷ミタ作画『コミックでわかるピケティ入門』

 ピケティの解説書は依然として出続けている。その中で本書は、個人的には高橋洋一さんの入門書、魔女ピケティ本と並んで、ピケティの主張とその関連情報をコンパクトにまとめていることでおススメできる。コミック部分だけ読むのもいいし、意外と詳細な解説部分だけを読むこともできる。またピケティ自身の最近の英語論文も丁寧に参照文献でまとめられていて便利である。

コミックでわかるピケティ入門

コミックでわかるピケティ入門