頼母子講の勧進元だった子息の本を、頼母子講を使って這い上がった貧困層(資産ゼロ・子ども多数、無職・学歴あんまりなし、母子家庭という岩田正美『現代の貧困』の貧困三重奏)の子息オレ、が世代と時空を超えてここに絶賛する。
- 作者: 藤井良広
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/07/20
- メディア: 新書
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これは素晴らしい本。90年代以降のマクロ経済環境の失敗と市場の失敗(市場の不在の意味で)とが悪影響を与え合うことで民間への資金供給の空洞化ともいえる事態が生じていると著者は考えている。この事態を背景にして自生的に現れたさまざまな非営利金融組織の活動を、著者の持ち味である緻密な取材で伝えていく。視野は国内だけでなく海外にも及ぶ(もちろんグラミン銀行についても言及がある)。
速水日銀総裁時代の日銀政策批判二部作(『縛られた金融政策』と中原伸之氏との事実上の共著『日銀はだれのものか』)と実は対をなす、藤井さんの日本の金融システム全体への問題提起の書。いつの間にか大学の先生になられていたのだが、あいかわらず現場主義的で冷静な分析はさすが。
これは必読。というか、今日現在(はてな界隈だけみても)、誰も言及してなさすぎ。もっと注目すべき本