中途半端な民営化と天下りの弊害:総務省鈴木茂樹事務次官更迭とかんぽ生命問題

総務省の鈴木事務次官が、総務省の鈴木事務次官が、かんぽ生命問題の総務省の処分内容を、日本郵政の鈴木康雄上級副社長に電話で漏らしたことで、事実上の更迭ということです。このダブル鈴木は旧郵政省の先輩後輩関係だったそうです。

 事件の詳細は以下のNHKのサイトが詳しい。

www3.nhk.or.jp

 

しかしこの鈴木康雄氏はNHKにかなり傲慢な抗議をしたことで世の中では記憶されてる人物。

「NHKは暴力団と一緒。ばかじゃないの」 “天下り”郵政副社長、かんぽ問題の番組めぐり呆れた“逆ギレ” (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

この鈴木康雄氏のNHKへの発言や「圧力」を巡っては以下の批判的解説の記事がある。

「NHKは暴力団と一緒」日本郵政鈴木副社長が「超強気」なカラクリ(高堀 冬彦) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

この論説には是々非々で読んだが、最後のBPOではない独立した放送規制機構の存在の必要性はある。放送法遵守を求める視聴者の会のような試みはあるが、同様に複数の規制機構(検証機構)ができて競争的に切磋琢磨するのがいいのではないか。もっとも天下りを目指す官僚たちはうっかりするとそれらの「民間」の機構も植民地化するので油断も隙もないかもしれないが。

 

日本郵政については、昔、高橋洋一さんと論争したことがあった。その時の論点は、1)竹中平蔵的な資金循環の歪みをマクロ的に治すことで日本復活みたいなシナリオ、2)郵政民営化が果たして本当に民営化として機能するか、というものだった。前者については、単なる「構造改革なくして景気回復なし」の小泉・竹中流構造改革主義であり正当化できない。また歴史がその主張の間違いも証明しているだろう。後者の論点については、今回も政府の天下りが非効率的なものを生み出している、つまりは中途半端な民営化の姿ともいえるかもしれない。

 

高橋さんの今回の問題についての以下の発言

 この中途半端な民営化は、民営化せずに保険・金融部門は静かに解体か、あるいは大幅なスリム化かナローバンキングが考えられたはず(田中はこの考え)、高橋さんは完全民営化してチャンスを与えるべきだという主張だった。

 

今回はこの点でいうと、民営化が中途半端なために起こったともいえるし、あるいはあのときに解体・大幅削減改変すべきだったともいえる。ここでは前者の高橋さんの視点でみておく。なぜならいまの段階では、保険部門の解体・縮小などよりも民営化の徹底の方が現実的だからだ。

 

中途半端な民営化はいつから始まったのか。民主党政権時代である。この点を今回のかんぽ生命問題と関連させて高橋さんはすでに論説を書いている。

gendai.ismedia.jp

 

 

あいちトリエンナーレ名古屋市あり方・負担金検証委員会第一回会合

あいちトリエンナーレ名古屋市あり方・負担金検証委員会の第一回会合を終えました。年度内にあと二回で報告をまとめる予定です。

 

展示作品の内容解釈だとか、展示会場で見た方がいいとか悪いとか、そういうものはこの委員会ではまったく論点ではないです。津田大介氏は彼のTwitterで、委員会の冒頭で、それは論点ではないと全員で確認したことをわざわざ持ち出していて情けないかぎりです。

ちなみに委員会の記録でも残るでしょうけど、我々は委員は全員、作品の概要もまた見れるものは見ているのです。作品の鑑賞や評価ではないのでそれで必要十分です。

 

委員会の論じる問題は、名古屋市の負担金の支出が妥当かどうか、またいままで支払った、または未払いの負担金はどうすべきか、そしてこれからの公共事業としての芸術支援の在り方をめぐるものです。特に手続き面でかなり問題があることが浮き彫りになっています。

 

以下のNHK中部日本放送のニュースがよく論点をまとめています。ただNHKはなぜ話題にほとんどならなかった少女像をとりあげて、一番の論点であった昭和天皇の肖像写真焼却動画を例示しないのか不可解ですが、それ以外はよくまとまっています。

 

ぜひご覧ください。

www3.nhk.or.jp

 

hicbc.com

 

全部はこちらのアーカイブから。ただし音声が悪いw。上のニュース動画でもう論点整理は尽きてるのそちらをどうぞ。ただ法律のプロ三人が揃って河村たかし市長の発言は

「検閲」ではないと断言してて、僕も賛同してますのでそこは注記しておきますね。

https://www.youtube.com/watch?v=hTX8MReXR0g

論説「グレタ現象を盛り上げる「最強のアンチ」はもう一人いる」by田中秀臣in iRONNA

今週の連載は経済学からではなくw、アイドル論からみたグレタ現象でした。この記事の公開後に、記事中で話題にした中国政府に関する話題で、中共批判に近い内容を、ついにグレタ氏が香港デモへの理解を示すツイートで公にしたことで、注目を浴びてます。このまま中国政府批判を続けるのかもひとつのキーになりそうですね。

 

わりと自信作です。ぜひお読みください!

ironna.jp

文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」12月17日火曜コメンテーター出演:消費増税とデフレ圧力、日韓輸出管理で対話など

本日もお聴きいただきありがとうございました。日韓の輸出管理は「対話」というか日本と韓国がお互いの制度や手続きを相手に話して、理解を深めるだけで、それぞれの国のルール変更をせまる「協議」ではないのですが、なぜか「協議」扱いする報道が多いですね。その点も批判的に言及しました。

 

また消費増税のデフレ圧力や、また朝日新聞の雨宮副総裁の発言を援用した観測記事ぽいものを批判的に解説しました。

 

来週もぜひお聴きください!

 

本日のニュース解説メニュー
○日韓 輸出管理で対話
○日銀緩和機運 急速にしぼむ
○中国産業補助金 5年で倍に
○かんぽ 一部業務停止へ
○消費増税とデフレ圧力

 

今週の放送は以下から聴けます。
http://radiko.jp/#!/ts/QRR/20191217

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060000
また生放送はラジオの他、radikoでも聴けます
http://radiko.jp/#!/live/QRR

論説「データで見る、東京オリンピック後の日本経済と不動産」by田中秀臣in Tochcome

トチカムさんで東京オリンピック後の日本経済を不動産市場について、現在の日本の政策的課題をふくめて詳細に論じました。読みやすい内容にもなっていますのでぜひご一読ください! 田中家の謎も一部公開w

 

www.tochicome.jp

論説「いい反緊縮、悪い反緊縮の経済学」上 in『電気と工事』2020年1月号連載100回目!!

ついに月刊連載100回目突入。次の目標は連載10周年ですw。応援よろしくお願いします。

今回は、反緊縮政策の「いい」のと「悪い」のとの区別を前後編でやります。

 

 

電気と工事 2020年 01 月号 [雑誌]

電気と工事 2020年 01 月号 [雑誌]

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 雑誌
 

 

国土強靭省と防災ファンドの経済学in『電気と工事』2019年12月号連載99回目

告知が遅れましたが、先月号の『電気と工事』には、最近の防災インフラ対策として、長期の人々の期待に訴える効果のある国土強靭省や防災ファンドの枠組みについて書きました。

 

<さらに、長期的な経済停滞を防ぐために「国 土強靱省」のような省庁や、オランダなどで先 行例のある防災ファンドを新設すれば、国民の 多くは長期の財政支出が続くことを期待して、 デフレ停滞に陥るリスクを「恒常的」に予防す る。この恒常的な防災インフラ投資が、金融緩 和の継続とともに、日本の経済停滞を回避する ための絶好の両輪になるだろう。 >

 

図書館などでぜひご一読ください。

 

電気と工事 2019年 12 月号 [雑誌]

電気と工事 2019年 12 月号 [雑誌]

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: 雑誌