パコ・ロカ『皺shiwa』

 老いること、介助、思い出や愛すること、それらに関心のあるすべての人に読んでもらいたいコミック。物語は老人ホームにいれられたアルツハイマーに病む元銀行マンを中心に、彼の同室のカネに執着する老人、イスタンブール行き列車に乗っていると思い込んでいる老女、孤独な老女、電話をかけようと徘徊する老女、永遠の愛を誓いあったふたりの老夫婦、そして介護士や医師たちなど群集劇が見事に描かれ、一気に読めてしまう。ここ1、2年、すぐれた海外のコミックが紹介されているが、この本はその中でも傑出したグループの中に連なるだろう。読書の喜びを体験できる素晴らしい作品だ。同時収録の「灯台」も感銘深い佳品。

皺 (ShoPro Books)

皺 (ShoPro Books)

浜田宏一先生の熱い夏

 浜田宏一先生の精力的な活動を、産経新聞の田村秀男さんが伝えてくれています。この田村さんの記事はわかりやすいのでよく読まれるといいでしょう。

【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 優先目標を脱デフレに 
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110731/fnc11073108250000-n1.htm

世界の経済学者の間では、「日本はなぜ世界の非常識となる経済政策をとるのか」という疑問が広がっている。米エール大学で教鞭(きょうべん)をとっている浜田宏一教授はそこで、米国人の同僚教授とともにこの夏休み期間、来日して精力的に政治家、官僚、大学教授、ジャーナリストなどにインタビューし、原因分析に取り組んでいる。筆者も浜田教授に見解を聞かれた。「日本の政官学、メディアにはデフレに関する認識が甘いことが、安易な増税など政策の間違いを生んでいるのです」と答えた。

「小学生にもわかる嘘」と題したところは強烈ですね。

 財務官僚は一方では、日本がデフレから脱し、インフレ率が上がれば、国債利回り国債の市場金利)が上昇し、国債を大量保有する金融機関は1%の利回り上昇で2・5兆円の評価損が生まれ、信用不安が起きると警告する。日銀もインフレ発生を理由にお札を刷らず、円高を放置し、デフレを事実上容認する。

 だが、国債を支える日本の家計の金融資産は1500兆円に上り、そのうち現預金は820兆円に上る。1%の金利上昇で8兆2千億円家計の金融収入が増え、消費を刺激し、カネが回り出す効果を無視している。政府が外国からの借金に頼る米国やギリシャとはわけが違う。

いったいどこまでいまの財務官僚・日銀と御用学者たちは嘘を重ねるつもりなんでしょうか? 

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

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