猪木武徳「オルテガ『大衆の反逆』」:『環』33号


 下に書いたように、思いがけない体験をした後に献本いただく。『環』は今号から紙面をリニューアルしていて、中でも書評や名著再読というコーナーに力をいれている。僕が真っ先に読んだのは、猪木武徳先生のオルテガ『大衆の反逆』についての名著探訪。


 猪木先生は、オルテガの次の言葉「ナショナリズムとはつねに国民国家形成の原理に逆行する衝動である。ナショナリズムは排他的であるのに対して国民国家主義は包括的なのである」を引いた後に、次のようにコメントしている。

ナショナリズムが基礎固めとして積極的な価値を持つ時期があるが、ヨーロッパにおいてはすでに基礎固めは十分であり、ナショナリズムは単なるマニアが、創意の義務と大事業への義務を免れるための口実に過ぎないと喝破している。: