教科書に出てくる比較優位原理でガチャピン日銀総裁選出を考える(財金分離論の経済学的基礎??)


 mixi内のBaatarismさん経由(元はsvnseedsさん?)

 http://www.f7.dion.ne.jp/~moorend/news/2008032001.html


 まさにガチャピン総裁は経済学の教科書に出てくる教えとも一致します。以下では教科書的経済学に敬意を表して少しこの問題を考えましょう。


 まずは福田総理が徹底的にこだわってしまって政治的未熟さを露呈した、その願望の対象たる財務官僚出身者をひとつの候補として考えます。名前をムトウ一族としておきます。他方でガチャピンも推薦されたとしましょう。


 財務官僚のムトウ一族は、(民主やマスコミの一部が主張する)財金分離論など屁のカッパで、財政政策にも金融政策にもそれぞれ能力を発揮します。特に日銀総裁に推薦されるぐらいですから、彼の金融政策の巧みさは傑出していまして、1時間もあれば日本の重要なすべての金融政策の懸案をサクサクこなしてしまいます。他方で同じ1時間を使えば彼は天下り先であったり、財務官僚ならではの能力が要する仕事先*1で同じ1時間を使うと時給2万円を手にいれることができます。この時給は現行の日本銀行総裁の年収3600万円(うろ覚え)から副総裁の年収を大雑把に3000万円として、天下り先などでの年収もそう大差ないとみなしていいかげんに時給換算したものです。つまりこのときのムトウさんの機会費用は2万円です。


 さてガチャピンはテレビでの報道??でおわかりのように、オールマイティではあるので金融政策の判断そのものに困ることはないと思われます。しかしそれでもオールマイティゆえにムトウ氏に比べれば金融政策の判断にそれほど優れているわけでは在りません。実際にガチャピンに電話をしたところw、金融政策の判断に「3時間はかかるよ」と応えてくれました。ちなみにガチャピン日記(のコメント欄)によるとガチャピンの時給は100円だそうでして、仕出弁当工場で働こうが、コンビニで働こうが、建築現場でとび職で働こうが、カツオ釣りをしようが、鷹匠になろうが、馬に引きずられるバイトをしようが、三時間働いたときの収入は300円です。つまりがチャピンの金融政策決定行動の機会費用は300円になります。


 確かに財政も金融も分離せずにバリバリ仕事のできるムトウ一族の方が短時間でガチャピンよりも金融政策を実行できます。その意味で、これは経済学の教科書にはムトウ一族が絶対優位をもつ、と紹介されております。他方で機会費用をみてみると、ムトウ一族に比べて、ガチャピンの方が低いので、これは経済学の教科書を読むとガチャピンが比較優位を有しているとあります。


 さてこの問題は実に国民の厚生にかかわることがここで判明しました。もし仮にムトウ一族とガチャピンがともに国会に呼ばれ、そして日本銀行総裁の適宜をこの両者で判断すべきときに、私たちはどう日銀総裁選出のマーケットデザイン(w)をすべきか、を問われているからです。それは以下のマンキューのテキストからの言葉で集約されます。

:交換(貿易)が人々をより豊かにするのは、それぞれが比較優位をもっている活動に特化することを可能にするからである:


 ここで国民の観点からは、ガチャピンに一金融政策決定ごと300円以上2万円以下の報酬を支払うことで日本銀行総裁をしてもらうことが望ましいということになります。そしてムトウ一族は(民主党の要求もみたしてw財政・金融分離して)財政関係に特化することになります。ガチャピンの国民的人気で与党にとってもプラスになるかもしれません。


 まさにその意味ではこのガチャピン総裁こそ望ましい日銀総裁なのです。


 (追記)学生の皆さんは春休みにぜひ次のマンキュー経済学ミクロ編をどうぞ。最先端の話題である「組織の経済学」や「契約の経済理論」の基礎になるコースの定理、情報の非対称性の役割なども「ミクロ経済学のフロンティア」としてきちんと掲載されているのでお得です

 (追記2)ネタに自分で少しだけマジレス 笑 すると、日銀総裁選出は同じレベルの金融政策決定ができるならば(実際にはこの仮定はきつくもあり、また反面緩くもあるが 笑)、なるべく低い機会費用で実行できる人材が配分されるのが社会的に望ましいかもしれない。まあ、実際のところ専門家とはそのための存在なんだけどね。この理屈から財金分離論というか財務官僚出身批判が(例えば分業の推進と同時に新総裁給与を可変的にするという提案とともに)展開されればとりあえずは興味深い議論だったかもしれない。

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

*1:よくはわかりませんんが知事からテレビでガハハハハと笑うことまで多様です