キム・ギドク『悪い女 青い門』


 イ・ヘウン(『冬ソナ』のコン・ジンスク役)が、家業の民宿(娼婦の置屋でもある)の娘を演じている。この作品は僕には最初の20世紀のギドク作品との出会い。いままで見た21世紀作品群と比較すると習作的な位置にあるのかもしれない。原題の「青い門」はこの民宿の門であり、ギドク世界特有の小宇宙=独特の倫理が支配する世界への入り口になっているはず。ただその世界の箍はかなり21世紀作品群と比べて緩い。最終的には娼婦を中心にひとつの新世界が誕生する物語ともとれるのか。