なぜ満州大油田は開発されなかったか?


 まるで『ジパング』のネタそのものです 笑)。マンガの方では大油田の存在は確認され、すでに各国の諜報が知り、あやしげな財閥が全員集合状態で、そのまんまマリアナ大海戦に突入しているのでこのままだと簡単なエピローグ扱いになればいい、程度になっておりますが。


 月曜に発売予定の『週刊東洋経済』の原田泰さんの論説は、満州国の“成功”神話に反論した内容で、その一例として満州大油田(現在の大慶油田)がなぜ当時発見されなかったのか? という問題を提起していて非常に面白いものです。簡単にいうと『ジパング』ではないですが、どうも油田の存在は日本側は気がついていたが、それをなぜか日本の商工省が認可しなかったこと、さらに深く掘る必要があったもののその技術を公式にはもっていた海外企業(日本企業も技術保有していた可能性はあり)に軍事上の機密を優先してこれまた秘密のままにしたのではないか? という原田説は実に興味深いものがあります。また情報を開示しても海外資本の自由な投資が制限されていたのが満州国の“成功”神話の由来ですが(反語)。


 ネットで検索すると『ジパング』かSF小説ネタがほとんどで、しかもSFネタがかなりうまくできているので誤った情報をゲットしてしまいそうですが 笑。

(補)いまふと思ったが、もしこの大慶油田未発見が統制経済の限界を示すエピソードだとしたら50年代に中国が発見・開発したというのこの論説への突っ込み材料になってしまうかな? それでも満州経営の限界を示すだけでは有効な素材ではあるのか。

 ヒストリー・オブ・バイオレンス&ホリディ


 クローネンバーグの作品を見るのは10年ぶりぐらいで『裸のランチ』を劇場で見て以来である。『裸のランチ』がどうも個人的に気乗りしない出来だったのが原因で、その後の彼の作品からは疎遠になってしまった。『クラッシュ』も見ていない。今回の作品は原作がアメコミであることが今の僕の関心を引いたので見てみた。この作品は絶妙の間をとった傑作といえる作品ではないか、と思う。個人的に完全にクローネンバーグへの関心が復活した。手近い資料(『クローネンバーグ オン クローネンバーグ』)を購入してみたが、初期の作品などが大量にあることを知って興味をもつ。僕がクローネンバーグを認知したのは、『スキャナーズ』『ヴィデオドローム』からで商業系にかなりしっかり乗り出してからの作品からで、この二作と『デッドゾーン』『ザ・フライ』『戦慄の絆』までは見ている。初期作品の方にトライして気がのったら『クラッシュ』や最近の作品も見てみたい。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』はアメコミ原作よりも映画が評価が高そうなんだか、まだ原作は読んでいない。そのうち手にするとは思うけれども…。

ヒストリー・オブ・バイオレンス [DVD]

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 いずれにせよ、上記の著作や最新のクローネンバーグのインタビュー本も含めて少しお勉強したい対象だと思ったのである。

 近所のシネコンでみた映画としては、『ホリディ』がおススメ。このナンシー・メイヤーズ監督の前作である『恋愛適齢期』も佳作といえるものだが、設定は似ていて上流層と中流層上位の交流、年齢もしくは空間の隔たりでの交流 という要素を共有していて、今作は働く女性の自分喪失・自分発見というチック・リット系*1ののりも交えている、これまた佳作である。映像の作りこみがなんか日本の映画のように部屋の奥行きを意識した目線を感じるところもあり劇場でみたほうがこの映画はいいかもしれない(DVDだと気がつくかどうか微妙)。なお男ひとりで日中にみていたのは僕ひとりなわけだが 笑

Holiday (Score)

*1:僕は最近、韓流ネタの次にチック・リット系の「お勉強」をしているwただひとりの経済学者を自称中である