スティグリッツの日銀批判の基礎??=ADP・中谷モデル


とりあえずhicksianさんのメモ。冒頭の僕の戯言は無視するようにw


http://hicksian.cocolog-nifty.com/irregular_economist/cat1965717/index.html


 あと別エントリーに書きますけど、今般の日銀の金利上げの事実上の理論的核は例の「日銀ダム論」でして、そのコアは経験的な日銀版フィリップス曲線w(雇用人員判断D.I⇔賃上げ⇔インフレ率)に基づくものなんですが、これを下記のスティグリッツとhicksianさんのブログで紹介されているADPモデルに基づく中銀新ルールは批判しているとも理解可能でしょう。


 またこの日銀版フィリップス曲線wは、もちろんいわゆる「ミクロ的基礎」をもってませんので、展望レポートや福井総裁がこの上記のダム論的因果関係をいくら強調しても「ルーカス批判」を回避することはできません(ま、これはややネタすぎるかなw)。この日銀版フィリップス曲線が存在している保証はまったくないですね。この点についてはまたダム論批判と関連して再度触れたいと思います。

 50人の主要経済学者

 スティーブ・プレスマンの『50人の主要経済学者』の改訂版。早稲田大学図書館から借り出す。こういうコンパクトで文献紹介も充実したミニ経済学者辞典みたいなのは実は大好きw。マーク・ブローグの二部作(ケインズ以前、ケインズ以後)は何度読んだかしれないし、New Palgraveの人名のところもまめに図書館で読んでは時間を潰しています。この本は50人と人数を絞りこんでいるので、改訂でスティグリッツとカーネマンをいれた反動で96年版では入選していたロバート・オーエンとオスカー・ランゲが落選しました。オーエンはプレスマン独自のこだわりでしょうが、本人曰く、スティグリッツも労働や失業を重視しているのでオーエンとトレード可能だとのこと。他方でランゲは計画経済論への関心がなくなってきたのにくらべて、行動経済学・実験経済学の興隆が無視できないので入選とのこと。


 そういえばスティグリッツはこの前日本にきたときに、現在の日銀の政策を失業問題を軽視している、としてかなり厳しく批判してましたね。あの主張の背景にはやはりアカロフらの日本のような事実上デフレ、まけてもゼロ近傍の低インフレが失業率を長期的に高めてしまう、という理論があるんでしょう。

 

Fifty Major Economists (Routledge Key Guides)

Fifty Major Economists (Routledge Key Guides)


 スティグリッツの近況を検索したらコロンビア大学のカンファレンスでも日銀批判(おまけのインタゲ論も含めてw)が全開だったんだなあ。


http://www.cnbcasia.com/wap/newsdetails2.asp?reportid=154067


 スティグリッツが失業と成長に重点を置くという姿勢は評価してあまりあるんだけれども、その一方で最近著は読んでないんですが、ますます宇沢さん化してますねw。仲いいから 爆

Making Globalization Work: The Next Steps to Global Justice

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