浜田宏一先生の消費税問題についてのつぶやき

 僕も参加しているメーリングリスト浜田宏一先生が、いまの日本での消費税問題についてつぶやかれたので、転載可ということですので以下に全文コピペします。

皆様、理論家のつぶやき。

完全雇用の元ではケインズ的な分析が有効でしょう。
ただし潜在成長が達成されてしまうと、税の死重負担が生じますから、ハーバーガーの三角形の損失が生じ、これは税の増加分の自乗に比例します。

消費税でなくても、税は一般に[反]成長戦略なのです。財政事情のため、しかしsecond best として増税しなければならないときもあります。

 いまの日本は当然、不完全雇用(今の失業率は4.1%で、ケインズ的な意味での失業が解消されるには少なくとも3%台前半まで低下する必要があります)ですから、ケインズ的な分析によれば、増税有効需要を減少させ、不完全雇用を増加させてしまいます。

 ちなみに内閣府の試算を単純に考えても0.9%ほどのGDPの引き下げ効果が発生してしまうのです。この数値の基礎となる内閣府モデル自体は、浜田先生の言及されてるケインズ的な枠組みとは必ずしもいえず、むしろその引き下げ効果はより深刻である、というのがケインズ的な立場に立つ人たちの共通理解でしょう。不完全雇用が継続する中での増税は間違いだと私は思います。不完全雇用解消後については、「財政事情」をどう判定するかで議論がわかれるのではないでしょうか。

アメリカは日本経済の復活を知っている

アメリカは日本経済の復活を知っている

内藤陽介『マリ近現代史』

 内藤さんから頂戴しました。どうもありがとうございます。最近はアフリカ諸国への注目、特に経済関連での注目度がふつうの人の間でも高まってきているようです。またイスラム世界や、その歴史的・政治的な背景を知る上でも、本書は骨太な史料としても利用できるでしょう。

 世界の近現代史の勘所を知るには、内藤さんの著作を読むのが一番確実な方途だと思いますが、今回もまったく知らない世界を詳細に、そして数多くの切手、絵葉書などを利用してビジュアルな読みやすい作品として提供されていると思います。特に毛沢東時代の中国との関連、ケネディとの関係などは、面白く拝読しました。

マリ近現代史

マリ近現代史