アレハンドロ・ホドロフスキー&フアン・ヒメネス『メタ・バロンの一族』上

 これは面白い。自らの身体を傷つけることで宇宙一の残忍な戦士として通過儀礼を行うメタ・バロン一族の歴史を描くスペースオペラ。その奇想と活劇の描写は、本当にフランスの漫画はレベルが高いなあ、とうならせるものがある。下巻は秋に刊行予定だが、この不可思議なテイストと独特の暴力と倫理観の混在は、もっと多くの人と感想を共有したい作品。ホドロフスキーって本当に面白い人だなあ。

メタ・バロンの一族 上 (ShoPro Books)

メタ・バロンの一族 上 (ShoPro Books)

ニコラ・ド・クレシー 『サルヴァトール』

 ニコラ・ド・クレシーの世界半周、愛の旅路を描くグロテスク、文明への皮肉、情感などがごちゃまぜの一匹の犬?人間の成長物語といえるもの。まだ未完なのだが、ニコラ・ド・クレシー のすべての作品と同じく読みやすく、緻密な書き込みにもかかわらず、どんどんその作品世界に引き込まれる。いままで翻訳と英訳しか読んだことがないが、『天空のビバンドム』『氷河期』ともに文明批評としても秀逸。個人的な嗜好では、フランスの漫画はなじむねw

サルヴァトール (ShoPro Books)

サルヴァトール (ShoPro Books)