バスティアン・ヴィヴェス 『ポリーナ』

 才能に恵まれた美しいバレリーナである主人公とその厳格な師との20年以上にわたる日々を描いた秀作。いままでのヴィヴェスの作品の中では最も長い時間軸を扱い分量も多い。はじめて動的な意味での「人生」を表現した作品だといっていいだろう。古典を読むような味わいだ。『塩素の味』に並ぶ代表作といっていいだろう。日本でおそらく彼の作品の熱烈読者としてかなり早い段階でこのブログでもとりあげてきただけに(ここ参照)、現在かれの評価が日本で定着してきたのは嬉しい。

 未翻訳の初期作品や日本のマンガの影響を消化して描かれたという最新作もぜひ多くの読者に読んでもらいたいとファンとして思う。

ポリーナ (ShoPro Books)

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BiS見聞記

 去年放送されたカウントダウンE.Tでなぜか見たことがないBiSのイベント前後編に僕のコメントがわりと長く使われたので、ずっと一度はちょっとでもいいからライブをみて見たかった。新宿の屋外で平日夕方というのは僕にとっては負担の少ない絶好のタイミング。

 Twitterでも感想を書いたけれども、彼女たちは僕の趣味ではなかった。途中で見るのをやめた。

 と、書いたらネットの匿名の知的レベルの低い人(バカにされても言及されたら勝ちみたいなしょうもない知的退廃タイプ)が、僕のことをアイドル綺麗至上主義だとか、わけのわからないことを書いていたw BiSだけがアイドルではない。したがってそれの個別評価が消極的なことをもって一般化する人の知能はきわめて低い。まあ、こんなしょうもないことを書いたのは、なんだかとっても後味の悪いライブだったからだ。

 二曲目の終わりにもう場所を移動して地下への階段に向かおうとしたら一部のファン(十数名?)が猛ダッシュしてきた。倒れた人もいたのでは?。少なくとも警官は真剣に怒ってた。本当に危険だ。あの場にいた人はすべてがライブをみにきたわけではない(=注意が他にむいている人も多数歩いている)。

 上の僕のことをアイドル綺麗至上主義ととらえた人も、自分の目前の情報や知識だけで一般的な結論を出す意味では、このダッシュした人たちと似ているのかもしれない。いや、似てなくても別にいい。本当に危険な行為だ。また運営側の事前の危険な行為をやめるようにというアナウンスがとても観客となれ合っているような印象を与えた。簡単にいうと真剣味がないというか。

 どうもぼくの聴いた二曲だけで「中止」になったようだけど(よくはしらないがメンバーがそれらしいことをつぶやいてた)、それとこの一部の観客の無責任なダッシュとの関係はわからない。ただあのダッシュしてきた人たちの薄ら笑いだけは印象に残った。すごく無邪気なんだなと。

WHO KiLLED IDOL? (ALBUM+DVD) (MUSIC VIDEO盤)

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