フランスのすぐれたマンガを日本に:『ユーロマンガ』第二号

 編集のフレデリック・トゥルモンドさんhttp://www.euromanga.jp/から献本いただく。どうもありがとうございます。第一号からのファンなので第二号の発刊を楽しみにしていました。内容は、セクサロイドものの『スカイドール』が前回よりも謎を深める展開で物語りに広がりが出てきました。


 そして僕が一押しなのは、エロチック風味をトッピングした、モダン・ゴシックホラー。吸血鬼の復讐譚を描いた『ラパス』。今回は第一巻の最後まで掲載されていて前回よりも面白いですね。実はあまりにも気にいったので、第二巻も原書で購入してますが、第二巻は、より伝奇性が増していき、またエロティックな作風にも拍車がかかります。トゥルモンドさんによれば、『ラパス』が好きなのはBD(ベデ:フランスマンガのこと)読みでもスジがいいそうでして、日本人ではめずらしいリアクションらしいですよ(誉められてると素直にうけとっておきます 笑)。


 そして日本でも翻訳が二冊でている黒猫探偵のハードボイルドもの『ブラックサンド』は今回で第三話が完結しています。物語の構成が非常にしっかりしていて一気に読ませますね。できれば第一巻から一気読みしたほうが爽快感があるかと思います。


 とりは、たぶん日本人の好みだと思うのですが、芸術性の高いニコラ・ド・クレシーの『天空のビバンドム』。あざらしが人間社会(一部、悪魔含むw)の中で自己を陶冶していく物語です。あざらしの純粋性と勉学意欲、それをあざ笑ったり、足をひっぱったりする人間(一部悪魔)たちを対比することで、殺伐として私たちの心象を描いているのではないでしょうか? クレシーの作品では、僕は最近読んだのですが、何百年、何千年先の未来の世界を描いた『氷河期』がよかったですね。これは世界の記憶がすっかり失われ、文明のほぼすべてが氷河の下に隠れた時代に、ある探検隊が氷河の下に埋もれたルーブル美術館を発見する物語です。これはおススメでした。


 他に本書では、あまり日本ではまとまった情報のないイタリアのマンガの紹介、それにアングレーム国際マンガ祭の情報が掲載されていて、これは僕としては便利でした。


ユーロマンガ2号

ユーロマンガ2号