経済学史学会関西部会に参加

佐藤方宣(関西大学)さんの「1970-1980年代日本の経済学方法論」を楽しく拝聴。ちょうどいい機会なので、70年代、70年代の日本の経済学方法論を自分なりに復習・勉強した。

 

書籍(『経済政策を歴史に学ぶ』)で書いたこともあるが、村上泰亮がやはりこの時代では注目すべき貢献だろう。著作集の第1巻(『産業社会の病理』など)に収録されていた諸貢献は重要。

 

村上の経済学方法論は、「エディプス効果」と呼称されている独自のフィードバック機構である。経済学の予測が他者の行動に影響を与えるために予測がそのまま成立しないという、一種の「ルーカス批判」やあるいはゲーム論的な状況をここでいっている。

 

佐和隆光氏の『経済学とは何だろうか』はこの時代に主流経済学の制度化が米国で特に進展したことに注目している。僕も当時読んだが、佐和の本を読むよりも先に、広重徹らの著作を読んでいたので、『転機に立つ科学』などの本の方が影響をうけている。この機会に『虚構と現実』『パラダイム・シフト技術と経済』を読む。

 

浅田彰氏のブームには大学の終盤に遭遇してそれなりに影響をうけたが、いま考えるとむしろ「ニューアカ」と称される現象では、栗本慎一郎氏の本をよく読んでいたと思う。ただ経済学方法論ではないので今回は省略。浅田氏のかかわった本では、『構造と力』『逃亡論』よりも、対談本の『科学的方法とは何か』に影響をうけたと思う。それは広重らからの延長かな。この機に再読してみて、非常に面白く感じた。山口昌哉の議論に主導された対談ともいえるが、村上のエディプス効果と同じような論点を、自己組織化の議論に見出すことができる。