EU復興基金についてのメモ

新型コロナ危機で、統合経済の運営(財政制約やユーロ圏制約での金融政策の自律性喪失など)が大きく問題化していたEUは次世代EUプログラムによって経済復興を成し遂げようとし、それは17日から21日までの長期の協議で妥結をみた。「EU復興基金」に関わる報道や分析などを以下、備忘録的に列挙。

 

欧州連合EU)に求められる経済政策の全体像は、このIMFブログの記事が展望にいい。

www.imf.org

 

今回のEU復興基金をめぐる「倹約国」側とドイツ、フランス、そして高債務国(イタリア、スペイン)などの攻防戦については、BBCの記事が総括してて便利。

www.bbc.com

市場・各国の反応。一部はBBCのニュースにもあり。

イタリアに対する市場の反応

www.bloomberg.co.jp

ギリシャ政府の評価。

www.reuters.com

EU復興基金の評価については、以下のいくつかの論説を参照。

詳細な合意内容を解説しているものとしては、以下。

http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2020/tanaka200721europe.pdf

エコノミストの記事は、EU復興資金をリードしたメルケル独首相とマクロン仏大統領を称賛。米国の「ハミルトニアン・モーメント」になぞらえてもいる(EUの財政的統一への端緒との評価)。

www.economist.com

高橋洋一さんの評価は辛口。日本への援用もあり。

www.j-cast.com

ギリシャの左派勢力、例えばヤニス・バルファキス氏はこの「第四次支援」に批判的で、プライマリーバランス赤字の対GDP比が現状で10%を、対GDP比2%の黒字相当分の「債務」で解消せよ、といっているのと同じで、やがて第五次支援は自明で、それゆえ我々は闘うと反論してる。

www.yanisvaroufakis.eu

こちらは(ギリシャではないが)市場主義的な観点からの反論としては、EU復興債はグリーンな投資だとか一種の産業政策であり、それは縁故主義を生み出すだろう、と批判。

www.econlib.org

なおEUとはそもそも何かの解説としては以下がおすすめ。

www.econlib.org

 

個人的な感想としては、「エコノミスト」誌の方がバランスがとれてるだろう。EUの政治・経済的統一を財政的な結合(史上初の共同債)で乗り切ろうとしている。高く評価 しておくべき。バルファキスは新コロ前の既存債務の解消も要求しているので過剰、市場主義派は長期的視野に絞りすぎてる