政治的対立の雑音も収まったので、静かに近所のシネコンに行って鑑賞。是枝裕和監督の映画は、かなり好きな方でこの映画も予告編から楽しみにしていた。カンヌ映画祭のパルムドールからその後の監督の政治的なふるまいをきっかけにして、個人的には日本の左派vs右派の対立というものが喧しかった。監督が招いた雑音なのでそこは反省してほしい、と一ファンとして思う。
作品自体は現代の家族を描いてはいるが、やはり底知れぬ孤独を描いた作品だった。当たり前だが、人はみんなひとりで生まれひとりで死んでいくのだが、その間の一瞬をコンクリートとアスファルトに囲まれて生きるか、それともその狭間にある異界のような(作品に描かれた)密集した野生とでもいった一軒家ですごすのか。
後者の都会の中の異界での縁なき縁ある人々の一瞬のまじりあいが、この作品を見るものを感動に導いていく。安藤さくらの演技がやはりものすごく、菩薩かよ、と彼女の作品をみるたびに思う。