内部留保課税雑感

 自民党内部留保課税を考えてるというネット情報を目にして、そのような案がしばしば共産党などからも出されていたなと思う。内部留保に課税することで、内部留保ではなく企業が設備投資を増やし(同時に外部資金調達が増加、すなわち銀行側からすると貸出増加)、あるいは労働への分配が増えるという目論みとしてしばしばこの大停滞の中でみかけてきた。だが、そのような目論見は本末転倒ではないだろうか。

 例えば設備投資は実質資本コストと(投資による)期待実質収益率との比較できまる。実質資本コストはカットオフレート(切り上げ率)のことなので、内部留保課税はこの切り上げ率を上昇させる。いま期待実質収益率が一定ならば、内部留保課税はむしろ設備投資を低下させる可能性もある。また外部資金調達でみても内部留保課税率にもよるが前者の資本コストの方が大きいだろう。したがって銀行の貸出が急増する可能性も低い。

 単なる増税路線の産物でしかなく、いままでの前提からいうとむしろ内部留保を活用するものへの減税政策の方が望ましい。