西部邁『蜃気楼の中へ』(中公文庫版)

 西部邁氏の『蜃気楼の中へ』(中公文庫)を読んでる。1985年刊行のもので文庫版は今年。西部氏の著作はそこそこ読んできた。20冊くらい? この作品は面白い。差別と区別の違い。競争と慣習からの日米比較など。あとこの時期の西部氏の文体が古谷さんの文体(気楽なネタ書くときのもの)になんか似てるな。これ以降の西部氏の文体はどんどん技巧的というかムダに英語(というかカタカナ表記の英語)と日本語が混在する読みづらいものに変容していくけど、この頃のはその過渡期なのか、独特の味わいがあっていい。『妻と私』も読んでいて、奥さん亡くなられたんですね。ご冥福をお祈りします。

アマゾンではなぜか昔の中公文庫版があって2015年版は見当たらない。なので版元のページを。
http://www.chuko.co.jp/bunko/2015/03/206087.html

なお、僕は西部邁批判を書いていて、それは以下の著作に収録されている。ちょっと不十分なのでいつか機会あれば続きを書くかもしれない。村上泰亮論も書かないとなあ。

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