非正統派経済学だが、かなり楽しめる内容だった。詳細な説明はもちろん同書を読むべきだが、ポイントは以下の通り。
1)貨幣は「市場秩序」の中核
2)貨幣は、絶対的流動性(他の人々が絶対的に欲するもの)として社会的に満場一致で承認されている。このことが貨幣に「勢力」を与えている。また社会的な満場一致は「共同情動」とも言いかえることが可能で、これは貨幣価値の誕生が宗教的価値などと類似した起源をもつことにもつながる、
3)この共同情動(≒群衆のパワー)は、ケインズ的な美人投票モデルと親和的である。市場参加者の模倣という行動が、合理的な人間を前提とする市場均衡モデルを限定的なものにし、むしろ一般的には金融市場でまま観察されるような複数均衡、バブルなどの現象を説明しやすくしている。これはシェリングのフォーカルポイント(集団的信念の自己実現としてオルレアンはよみかえる)の議論に近い。例えば「みんなが株価が上がると信じているのでそれに倣って株価が上がると信じる」など。
このオルレアンのモデルは高田保馬の勢力理論とかなり近い。ここらへんをどう整合的に考えていくのか、またいまの中央銀行のスキルであるインフレ目標やまたリフレーション政策(オルレアン流にいえば貨幣の勢力=権力を低下させる政策)をどう考えるのか、興味深い。オルレアン自身はルール的な政策運営に否定的である面も加えて。

- 作者: アンドレ・オルレアン,坂口明義
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 2013/11/21
- メディア: 単行本
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