ルビーニの2014年経済展望

 ルビーニの書いたものは、有料メルマガで読む気はあまりしなくて、久しぶりに無銭(アイドルの現場用語w)なので読んでみた。僕はわりとルビーニには辛辣な態度をとってういて、彼は『大いなる不安』でも自分の「予測」の妥当性と先見性を売りにしているようにみえ、実際ではその危機が起きたときの対処法は? という肝心な問題にまともに応えているようには思えない。まったく僕自身にとっては評価が低い経済学者である。それでもまあ、彼の書いたものは、同じくまったく感心しないソロスとともに、日本でもよく市場関係者に参照されることがあるので読んでおくことにしている。とまあ、冒頭からいきなりネガティブなことを書いたが 笑。

 http://www.project-syndicate.org/commentary/nouriel-roubini-says-that-global-growth-will-pick-up-modestly-in-2014--while-the-risk-of-a-major-shock-will-diminish

 簡単にいうと世界経済は先進国中心に低成長モードだけど2013年よりはまし。発生確率が低く起きればドデカイ負のショックをもたらすようなテールリスクは13年より小さいだろう、というのがルビーニの見立て。

1)先進国の成長率見込みは悪くない。長い間、家計や企業を悩ましていたデレバレッジ(自己資金の何倍もの投資をすることができる現象の逆転)がひと段落し、フィスカル・ドラッグ(財政的歯止め)も日本以外はたかがしれてるし、おまけに金融緩和の成果が継続するのでそれも効を奏するよ。テールリスクは軽微。先進国を悩ましている負債経済は継続しているのでその面での成長の阻害はあるかもね。その意味でもユーロ圏は生産性が低下したり、高い失業に直面したり、また財政緊縮の負の側面がかなりみられて、社会的な不安定要因もある。日本が安倍政権のデフレ脱却が積極的な金融・財政政策で可能になりそうだけど、不確実性がふたつあってそれは1)消費税増税、2)第三の矢である規制緩和や貿易自由化が進展しないことだ。米国経済はシェール革命でかなり13年はよかったけど、議会の予算問題をめぐるいざこざなどが長期的な財政運営の見通しを悪くしている。

2)発展途上国については、ルビーニの論説を読んでほしいが、ここでは中国についてだけ。政府の構造問題(投資偏重から消費へのシフト)は遅々としてすすまない。地方政府や「国営」企業が抵抗しているし。不良債権も累増しているけど、中国のハードランディングはなく、事態は思わしくない感じで推移するかもしれない。

ルビーニはそれぞれの経済圏について成長率見通しをたててるが、まあ、僕には興味ないので原論説を参照ください。