みわよしこ『生活保護リアル』のインフレ目標批判へのコメント

「2013年4月現在、消費税率は5%であるが、2014年に8%、2015年に10%へと上昇することが予定されている。また第二次安倍内閣のもとで行われている一連の経済政策では、2%のインフレターゲットが設定され、数々の金融緩和措置が講じられている。三年後の2015年、これらがすべて実現すれば、消費者物価は約6.9%の上昇となる。これに加えて生活扶助が10%削減とされれば、2015年、生活保護受給者に対しては、約17%の生活保護基準引き下げが行われるのと同等の打撃にとなる。」みわよしこ生活保護リアル』。

 インフレターゲットはみわ氏の立論では生活保護を悪化させる元凶である。この直後、生活保護バッシングの話にまで接続している。バッシングが生活保護の実態をみておらず、このような(インフレターゲットを含んだ)保護の実質的縮小の可能性をみていない、というのがみわ氏の立論だ。

 みわ氏は最前列かその近くで聞いていた、僕らが石原伸晃の経済政策観について議論したトークイベント。ここでのメインテーマはデフレ脱却(インフレ目標政策によって)と当時の生活保護バッシングとの関連、尊厳死問題などが語られた。http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20120924#p2 二時間以上ここで話している、リフレ実現と社会保障問題の関係が肯定的に語られている文脈を知っていると思われる。もちろん知っていて批判していると考えていいだろう。

 あとこれはさほど僕は重視してはいないが、みわ氏の党派的な身振りにも注目すべきだ。「政府、財務省厚生労働省自民党日本維新の会、一部マスメディアなどのよる圧倒的な波状攻撃のもと、生活保護基準引き下げは、現実のものとなろうとしている」と最終頁近くにある。これはおかしい。生活保護バッシングの過程で、片山&世耕のバッシングに呼応したのは当時の民主党の厚労大臣。さらに先の衆院での改正生活保護法自体は、自民、民主、公明、みんなが共同提出して可決されていたのではないか?これに賛成した党は、維新、生活などが入る。いわばほぼすべての政党だ。反対したのは、共産党社民党だけだったと記憶する。無所属については記憶なし。この「みわよしこ問題」はわりと僕は重視していて、本当に生活保護問題や貧困問題をどう理解しているかの試金石になると思っている。僕の証拠(といっても他にもあったと思うが、僕も批判的に最初から読んでいたわけではなく少しぐらいのはスルーしていた)は書いた。彼女を弁護したければどうぞ 笑。

生活保護リアル

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