馬淵澄夫『原発と政治のリアリズム』

 原発事故の対応を中心に、いまの政治のマネジメントにおけるリアリズムの欠如を指摘したもの。馬淵さんから頂戴しました。どうもありがとうございます。当時の現場の対応、そこにみられる様々な人間模様、しかも多くの人達がいかに知恵を出し合い、問題意識を共有していたか、という側面に僕は魅かれました。もちろんそうではない側面の指摘もてんこもりです。民主党の大敗が本書の最後に語られていますが、それは「リアリズム、戦略的思考、マネジメント力の欠如」だったというのが馬淵さんの指摘です。

 本書は原発事故の政治側からのルポとしても非常に重要な貢献でしょう。そのリアルな描写は一読の価値ありです。

 今回の書籍では原発事故が中心になっていますが、日本の政治に決定的に不足している、通常の経済の三本柱ー景気対策(雇用対策を中核にしたもの)、成長政策、そして再分配政策を、ぜひ実行できるだけの能力を再び民主党に求めたいと思います。現実をみるとはなはだ悲観的になりますが。ここは頑張るしかないでしょう。

原発と政治のリアリズム (新潮新書)

原発と政治のリアリズム (新潮新書)