民間も公共部門も負債だらけで、それがどんどん増えていく負債スーパーサイクル。この負債の重荷で停滞継続、またまた負債はふえていき、そのうちどっかん!(ゲーム終了)
これが本書の中核メッセージである。負債スーパーサイクルのエンドゲームの後は負債が払い落されてるので2020年代は素晴らしい時代になる、なんていうメッセージがある。
あと量的緩和は敗北の印。これが極端なマネタライズ(国の負債を中央銀行が紙幣発行で調達)してしまう可能性をひらいてしまい、中央銀行の独立性が失われると、米国や日本といえどもハイパーインフレにつながる。中央銀行の独立性は厳しく、だそうだ。で、処方箋にはちゃっかりオフショア所得への課税引き下げという業界目線が登場したりする。露骨で面白い。あとは優秀な合法移民を増やそう、正しいエネルギー政策、正しい雇用政策(その基本は教育政策)、70年代にアメリカは日本にぼこぼこにされて高い失業率と高いインフレ率に直面したそうだが(そうだったのか?w)、新しい事業はどこからかくるよケセラセラだ。
日本は自動車の窓でつぶれている虫扱いだ。でもなめてはいない。最後のどっかん!は、世界経済に与えるスーパーどっかん(バーン!)だからだ。たぶん本書で描かれている世界は、世界同時ハイパーインフレだ。少なくとも円とドルは一瞬で沸点に突入する。イェイ。
デフレとインフレのときの投資対策は重要だ。著者たちはフォーラムをネット上で作って指南してくれるそうだ。イェイ。日本でも以上のようなシナリオで、ほら、誰だっけ、キャピタルフライトがどうしたこうしたで、同時に投資方法を積極的にすすめてた人がいたような気がするけど。まあ、気のせいだろう。
日本の本屋にあまたならぶ日本国破産本、世界終末本をいちいち買うとたいへんだ。お金がかかりすぎる。本書はそれを一冊で用意してくれるのできわめてお得である。
なお普通の読者は訳者解説をまず読まれることをお勧めする。

- 作者: ジョン・モールディン,ジョナサン・テッパー,山形浩生
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: 単行本
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