せっかくやるからにはちゃんとしたものを出すべき:仲俣汐里他『AKB48でもわかる経済の教科書』

 あああ、だからいわないこっちゃない。ちゃんとした人が監修しないとダメ。仲俣汐里さんの『AKB48でもわかる経済教科書』。なぜ日本はデフレかの答えが、消費飽和説と将来不安説。両方ともゼロ点。しかも他方で、20兆ぐらい日本銀行がマネーを刷ればいいとも書いている。いったいどっちなの? そのほかにも普通の実証と経済学の見地でみて零点のオンパレード。これはひどい

 仲俣汐里さんの『AKB48でもわかる経済教科書』で、特にひどいのがデフレやインフレの定義が個別価格なところ 笑。「信用創造」の定義が「担保が値上がりしつづければ、貸したお金は必ず返ってくる」!! なんだ、それはw。また需要>供給で「好景気」とかw 価格の調整の説明がないとただの反経済学になっちゃうよ。

 後輩だから直言するが、まじめに優秀なスタッフが多い政経学部で地道に勉強するほうが先ではないのかな? 挑戦したことだけほめれば終りにしてもいいんだろうけど、しかしなあ、政経学部なら若田部昌澄さんとかほかにもついて学ぶにふさわしい人で、現実の経済の動きを的確に理解している人材は豊富なはず。いまどき、このレベル以上の講義はやってるはずですよ。がっくし。

(付記)あまりにもがっくりきたので(だってこういうレベルの「経済学」に政経学部にいた30年以上前に苦しんでたのでw)なんだが、ただひとつ言えるのは、彼女もまだ二年生になったばかりで、これを全部否定して、ちゃんとした経済学を学ぶ最初の踏み台にしたらいいんじゃないだろうか? でもそのときはもっとちゃんとした先生につくべき。政経学部にはいっぱいいますよ。ほんと。あと一緒の本を書いたので共著の「先生」を捨てきれないだろうけど、若いんだからいろんな先生について、どんどんその先生たちを使い捨てしていくのがベター。それがある意味で恩返し。その意味でも全力でこの本を捨て、本当の経済学の基礎を勉強してほしい。

AKB48でもわかる経済の教科書

AKB48でもわかる経済の教科書