米FRB、いよいよインフレ目標導入か?、際立つ日本の政策後進性

 ロイターの観測記事

FRB、早ければ今週のFOMCでインフレ目標発表も http://bit.ly/zQKDrQ

 とのこと。ついに、というかようやくというか、「世界ではリフレは終わった」とか大嘘が喧伝される日本のブログの一部や、またマスメディアと大違いで、いまの世界の潮流は以下のふたつ。

1 拡張的緊縮 VS 不景気のとき緊縮(増税や支出削減)したら経済低迷&財政再建も遠のく

2 日銀的なもの(金融システム=仲間以外に関心なし)VS 超金融緩和スタンス(含むインフレ目標、含むマイナス金利、含む為替レート目標)

のふたつ。日本は先進国でもめずらしく両方とも前者を採用して、自ら停滞の道をまたまた懲りずに歩むつもり。

FRBインフレ目標を確実にとるかどうかは、事実上のリーク記事が蔓延する日本と違い、あくまでもロイターのは観測である。またロイターの記事にあるように、インフレ目標の政策的位置づけでもまだ内部で論争がある。簡単にいうと、雇用の最大化とインフレ安定の両方をねらうためのインフレ目標か、あるいは雇用の最大化を犠牲にしてインフレ目標に傾注するかである。

この路線対立は結構めんどうな側面があるが、ともに経済成長の安定化に全力をそそぐ点では一緒であり、日本のように官僚的な現状維持を最優先している日本銀行とは大きく異なる(ただ英雄視はしてない。どこの中銀も多かれ少なかれ日本銀行風の現状維持派が主流。それゆえに政策転換する技量はある意味でうまい制度設計がなされている結果でもあるだろう)。

また米FRBは、バーナンキを外部から支援しているとおぼしきC.ローマーらの「名目経済成長率目標」政策の導入も課題であるし、その中でこのインフレ目標がどのように位置づけられるのかが、今後のFRBの緩和スタンスに大きくかかわる論点であろう。

少なくとも日本とは大きく異なる。スイスでも北欧でもイギリスでも米国でも、そしてだめだめといっているECBさえも日本より大きく政策転換をはじめている。その中で、眼帯がどうしたこうしたとか、10%超の消費税いくよ!とつぶやく政権とマスコミの暢気さには驚くものがある。

もちろんそういう政策の後進性に寄与している、ブログやマスコミの犯罪的な側面も深刻だ。少しでもまともな国際標準的な理解を広めるためにも今後とも頑張らないといけないと改めて思う。