いわゆる「空求人」問題についてのtwitterでの情報交換

 昨日の深夜、いわゆる「空求人」問題(実際には採用動機がないにもかかわらずなんらかの理由で求人行動を行う企業や組織の存在)は、学生や外国人留学生がハローワークなどを利用することで、新卒市場でもこれから問題になるにではないか、という僕の問題提案をうけて、いろいろな方から情報を提供いただいた。以下は特に分析をしたり、その裏付けをするわけではないが、いくつかの情報や意見を集約。

 特に重要なのはこの空求人問題を分析レベルまであげた岡田靖さんの論説の存在である。岡田靖「構造的・摩擦的失業は4%のあるのか?」(日本経済ウィークリー2002年5月)がその論文である。その中で岡田さんは、以下のように指摘している(この論文を再び指摘していただいたのは@kmori58さん)。

実は、公共職業安定所の世話になった人々から聞いてみると、求人を出しながらいつまでたっても実際には採用しない企業は少なからず存在すると言うのである。景気の悪い時期に公共職業紹介所が努力して求職票を増やそうとするために、結果的に労働需要の実態に合わない求職票が増え欠員率が見かけ上増えているのではないか?
求職状況のデータとしては、民間の求人雑誌の出版社が作っている「全国求人誌協会」の求人広告掲載件数がある。これは、求人数そのものではないが、有料の求人広告形成である以上、j必要もない広告はカウントされないという長所がある。有料の求人広告掲載件数を有効求人数で除し、その前年比増加率を求め、景気動向指数(CI一致指数)と比較(略)。一見して明らかなように、景気後退期には求人広告件数は有効求人数より急激に減り、両者の比率は大きく低下している。これは不況期ほど公共職業紹介所が熱心に求人票を集めて、結果的に見かけ上の欠員率の引き上げと、(略)「構造的・摩擦的失業率」の上昇を招いているという我々の疑惑の傍証となっている。

 これについて匿名ではあるが、面白い記事の紹介を、@nizimetaさんからしていただいた。

 http://anond.hatelabo.jp/20100419004746

 もちろんハローワークだけではない。特に外国人留学生の就職案件で僕はそのような事例をいくつか観察していることにも留意されたい。さらに

@opoonakeizaiitaさんから

たしか、ハロワの空求人は5〜6年前から浸透してましたね。企業の補助金狙いの求人です。それが為に、ハロワに人が行かない時期もあったと耳にしてましたな。

 ここらへんは裏付けを取らねばいけない問題ではあります。いずれにせよ、岡田さんのかっての指摘のようにマクロ経済的にも大きな問題である可能性もあり、また一部では公共職業紹介所の過剰な正当性をこの不景気にかこつけて狙う勢力もあり、そのような勢力から「雇用のミスマッチ」が今般の労働問題の真因であるような誤った情報が垂れ流されているのも実情である。

 不況に乗じて、既得権益層がさらに利益を狙うことはよく指摘されているが、その反動で迷惑をこうむるのは、真剣に求職や求人している人たちである。