政府の経済政策を考える(新潟日報インタビューより)

 新潟日報に月曜日掲載されたインタビューを許可を得ましたので以下に転載します。なおエントリー題名は記事の題名ではなく、私がブログ用につけたものです。転載の許可を与えてくださいました新潟日報の関係者の皆様には感謝いたします。関連リンク先:新潟日報社http://www.niigata-nippo.co.jp/

―鳩山政権の経済政策をどう見ますか。

 「景気立て直しの戦略が抜け落ちている。その典型が補正予算の執行停止。約3兆 円といえども経済が落ち込んでいる中では景気対策として重要な意味を持つ。不況で 民間の投資や消費が遮られているのを、政府がお金を流すことで補う。それが止まる ことは非常に大きな問題。マニフェストに縛られてしまっている印象だ」

 ―経済を内需主導型に転換するとしています。

 「子育て支援のように家計を直接温める意識があるのはいいこと。ただし、雇用の 場の拡大や所得上昇が図られないままでは、経済全体の所得が一定のまま、お金をど こに振り分けるかの話にしかならない。例えば地方公務員の給料が下がると地方経済 で使うお金の量が減る。その分は中小企業の懐に入るかもしれないが、それはプラス マイナスゼロであって地方経済への貢献にはならない。一方の懐を引き締め、一方を 温かくすることは地域で感情的対立も起きかねず問題がある」

 ―処方せんはありますか。

 「いま経済全体で足りないお金は20〜30兆円といわれる。それを埋めるため日 本銀行が長期国債を買い取って、政府がそのお金を地域振興や中小企業援助など景気 対策に回すのが一番いい方法。財政再建は景気が良くなってから考えればいい。政府 が金融政策で日銀と協調する場を早急につくることも求められる」

 ―雇用面の改善は見込めますか。

 「この不況下で製造業への派遣を禁止すれば雇用は失われる。失業が長期化する可 能性があり、いまは取るべき政策ではない。介護や農業分野に人が来ないのは待遇が 低く、きつい職場だから。失業者らは緊急避難的に向かっているだけで、雇用のミス マッチではない。ワーキングプア(働く貧困層)を増やすような政策ではなく、普通に生活していける職場環境を整える景気対策が必要だ」

新潟日報に掲載されたものです。