昔と同じか

 その昔、01年に小泉政権が誕生してまもないころ、マスコミは彼の行動をバラエティ的にとりあげたり、その政策を印象的にも好意的にとりあげていたように思える。国民の熱狂的な支持も高かった。もちろんこのエントリーでも指摘した「合理的な無知」を採用していれば、小泉政権の政策(当時のスローガンでいえば構造改革なくして景気回復なし)がどんな具体的な内容なのか問われることは一般的ではなかった。この「合理的な無知」がやがて郵政民営化選挙でピークを迎える。

 ところでその01年に『構造改革論の誤解』という本を野口旭さんと出させていただいた。これが時論のデビュー作なんだけど、それをもとにある非常勤先の有名大学で講義したら、そのときは毎時間ごとに授業アンケートをとっていて、その感想に「田中先生はなんで小泉さんの足をひっぱるのですか?」というものがあったり、「小泉さんをいじめないでください」というものもあった。別に僕としては小泉氏個人がどうのこうのという気持ちはないのだが、政策批判がその中味ではなく(とりあえず授業の中身ではあったのだが 笑)反個人、反政党として受け取られるんだろうなあ、とちょっとがっくりきた。

 例えば、今回、ある民主党の新人議員が知りあいだったので、これからの期待をこめてメールを送った。できれば景気対策への貢献をお願いしたいと書いて(あと農業の個別所得補助や高速道路政策も適切にやれば効率化の観点からは正当化されるとも書いた)おいた。

 それへのレスをみてちょっとがっくりきたんだけど、その人のメールというのは、民主党には確かに財政金融政策へのプランが欠けている、しかし自民党にそれがあるとも思えない、という内容のものだった。

 いや、別に自民党の政策なんか「自民党だから」という理由でここで応援も否定もしてないし(苦笑)、自民党がどうとかこうとか民主党がどうとかこうとかそういう党派の争いはどーでもいいので、僕は民主党の政策を変えてほしいといいたいわけです。自民党と比較してもどーしようもないでしょうが。

 まあ、政治家さんだからそういう党派比較になったのはやむをえないのでしょうけど、なんか景気対策の欠落を指摘したのに対して、アンチ民主党自民党シンパみたいなレスをもらうとはと、(たぶんここ読んでる可能性あるけど)これから将来めちゃその新人議員に期待しているだけに、オジサン的にはがっくり。これでは自公政権の「構造改革」路線を批判したときの上記のアンケートと変わらんて。

 まあ、郵政民営化が日本の停滞を打破する、ということを批判したら、そのときは「田中は社会主義者ですか?」といわれたこともあるし、反対に経済の効率化を唱えると「市場原理主義者」になるし、ほんとうにそういうのなんかめちゃがっくりくる。