森田朗『会議の政治学』

 id:bewaad氏が、長谷川幸洋さんの『日本国の正体』に異議を唱え、長谷川さんの審議会批判よりもこちらの森田氏の本が参考になる、というので購入。著者曰く、審議会の初級から中級向けの本で、上級編は審議会稼業?を引退してから書かれるとのこと。審議会にかかわるいくつかのプレイヤー(委員、事務局、座長、マスコミ、国民など)の「権威」や「利害」などを切り口に、非常にバランスのいい書き方をしていて、特に前半の審議会のケース別(権威維持の基本は全会一致、そのための交渉術、特に少数派への対処など)の対応は、審議会だけではなく、いろいろな会議について応用できるでしょう。実際に会議をどうすすめていくか、というノウハウ本はかなり多く書店でもありますが、あまり頭よさそうな本がないというか(w)、それに比べると本書はある種高踏的な観点から語っているので、会議に関する教養を高めることにもなりそうです。ただ総花的な印象があるのと、多くの部分が特に審議会というわけでもなく会議一般にあてはまることなので、その意味ではやや退屈な感じもぬぐえません。まあ、要するに審議会もほかの会議もそんなに違わないんだよ、ということなんだろうと思います。そういう一般化という切り口から審議会を検討したものとしてはいいのかもしれません。う〜ん、でもちょっと読んでてあくびがw

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)