前から書こうとおもってたこと、akamacに感謝

 明日は慶応大学で経済学史学会の全国大会。それを機会にして、前から書こうと思っていたことを手短にではあるが書いておきたくなった。

 赤間道夫さんことakamacは、経済学史の世界にインターネットの効用をいち早くもたらしてくれた、その意味でのネット社会の先駆者だった。たぶん経済学全体でも、そして国際的な観点からみても先駆者である。僕はakamacが用意した経済学史学会のメーリングリストにとてもお世話になってきたし、いまもなっている。しかも、このakamacのメーリングリストがなければ、いまここでこんなブログを書くことはなかった、あったとしてももっと地味に書いていただけだろう。

 僕がこんなに経済時事評論に手を出すきっかけになったのは、いまから13年くらい前に、ある本を読んだことによる。正確な日付もたぶん過去の記録をみればわかるだろうけれど、その日、僕はジュンク堂で杉原四郎先生の『続 日本の経済雑誌』を手にした。そこには経済雑誌『サラリーマン』というものがあって、非常に面白い内容だが、詳細は不明と書かれていた。

 それを読んだときに、僕はかなり興奮した。その雑誌がどこに所蔵され、そもそも誰がそれを出版したのかさえほぼすべて知っていたからだ。このことの経緯は、『杉原四郎著作集?』(藤原書店)の拙文「杉原四郎先生と現代経済論戦」に詳しく書いたこともある。結局、この『サラリーマン』が契機になって、猪瀬直樹さんと知り合い、研究会をつくり(いまは休眠ですまぬ)、メールマガジン、そして昭和恐慌研究会への参加、同時並行しての時論の執筆などに連なっていくわけで、もしあのとき杉原先生の本を知らなければまったく違った人生を歩んでいたろう。そういうことはだれの人生にもあるに違いない。あとから考えると不思議なものである。

 ところがこの「不思議」なものは、別に天変地異やへんな運命が実現してくれたものではない。その日、この『サラリーマン』の存在を誰かにいいたくてしょうがなかった、興奮中の僕は(笑)、その雑誌の一件を、当時まだたちあげてまもないakamac運営の学会のメーリングリストに投稿したのである。結局、これがきっかけになり『サラリーマン』研究がはじまり、あとは上の経緯で、いまもこんな感じでネットでうだうだと書くはめになっている 笑。

 もしあのとき、akamacが準備してくれたメーリングリストというインフラが存在しなかったら、僕はいまのようにいろんな人たちと知り合うこともおそらくなかったろう。その意味で、赤間さんにはいつも感謝しているのである。