『Voice』4月号をいただきました。ありがとうございます。今号では、若田部昌澄さん「政府通貨は見事な政策」、山形浩生さん「食糧危機はヨタ話」、上野泰也さん「ミステリーのなかの大恐慌、、猪瀬さんの「小泉改革批判への大反論」など読みがいのある論説が多いです。その中でも最も僕が注目したのが、高橋洋一さんの「“給料半減”時代の経済学 失業率10%を回避する75兆円対策」でした。
「失業率10%」という数字は、僕の今度の著作のサブタイトルと同じで、これは別に煽りでもなんでもなく、本書を読めばおわかりになるように、僕はいまのままの日本政府・日本銀行の政策が続けば、最悪ケースとして失業率はかぎりなく二桁に近づくと思っています。去年の年末に朝日ニュースターの特番で、番組の中でその数字をいったときに(若年失業者は20%になるかもしれないとも僕はいいました)、高橋さんや宮崎哲弥さんも同じことを懸念していたことを知って、僕ひとりの懸念ではないことがわかりました。
高橋さんは失業率10%(若年失業率は20%)の説明を次のようにしています。
「昨年10-12月期の実質GDP成長率が二桁マイナス、今年1−3月期も5%程度のマイナスという堅めの足もとデータから、100年に一度の危機ということで三年で回復(これもかなり甘い前提)するとすれば、今後1〜2年のGDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差額)は80兆円程度とGDPの14%程度になる。これから失業率を算出すると、6〜10%程度になるのだ」。
この点はラスカルさんのこのエントリーにおける高橋予測(今年度の経済成長率がマイナス3〜4%の可能性)のときの赤字の注意書きを参照のこと:http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20090211/1234319549(ただしラスカルさんでは若干、高橋さんや僕の考える超過失業率の水準が過小であるように思われる。高橋さんはこの減速が二年は確実に継続するので、さらに失業率は6%台を上回り、10%に近づいていくことになる。
さらに高橋さんは、長谷川幸洋さんとの共著でふれたように、物価連動債から算出されるデフレ期待をもとにして、日本の給料が半減する可能性をも書いている。
給料が半減し、失業率10%になり、若年失業がその倍の20%になる。その段階にきたときでは、事態はすでに手遅れである。
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