日本はグローバル化をあまりしてないから軽症??

 「日本はグローバル化に劣るから諸外国と比べて比較的まし」とか「グローバル資本主義の危機で、日本でもグローバル化した企業の方がダメージ」と妄説を信じている人が素人にも専門家(それを本当にプロといっていいのか疑問だが)にも少なからずいます。

 まず「日本はグローバル化に劣るから諸外国と比べて比較的まし」からなんですが、IMFの最新の経済展望の資料をみてくださいhttp://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2008/02/pdf/tables.pdf。2007年までが確定で、金融危機が起きた2008年が推定です。2007年からの最もショックを受けたのは先進国では、米国は実質成長率が2.0%から1.6%、ユーロ圏が2.6%から1.3%へ。その他の経済圏が3.9から2.2へ。そして日本は2.1%から0.7%へで一番減少率が大きいですよね。これでこの「日本はグローバル化に劣るから諸外国と比べて比較的まし」という命題で「比較的まし」が理由如何を問わず誤りである可能性が大きいことがわかるでしょう。

 「グローバル資本主義の危機で、日本でもグローバル化した企業の方がダメージ」ですが、下のホンダ社長の発言を聞くと本当に自動車産業が苦境に思えますが、もっとも現状で手痛い打撃を被っている産業で思い当たるのは、例えばニュースで報道され内定取り消しなどで話題になったのは不動産業や建設業ですよね。この業種ってグローバル化した企業の代表でしたっけ? orz

 もちろんこれからほぼ例外なく不況は等しく日本国民を苦境に立たせるでしょう。例えば業況判断http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0812.pdfをみてください。グローバル産業といっていい電機、自動車でも雇用崩壊といっていい状況が差し迫っているのではないですか?。もちろん非グローバル産業もです。つまり(グローバル化しているか否かではなく)全産業に不況の深刻な影響が及ぶ気配が濃厚です。一気に雇用調整が進むから逆に経済的損失が少なくてすむという楽観論がありますが、それは間違いでしょう。失業すればいままでの日本の経験でいえば長期化し、たとえ景気がよくなってもその経済的損失は長期に及ぶことを十分に学習してきたはずです。今回はいままでの日本だけの長期停滞ほど甘くない(あの時期を甘いということになるとは思わなかったが)予感がして本当に僕は危機感を持っているのです。奇妙でトンデモなグローバル化論に惑わされることのないようにしたいものです。