毎日新聞岡山だより

 石戸諭記者からの一足早いクリスマスプレゼントと思われてはいかが? 個人的には来年のどこかで出す予定のものが経済学とカルトをテーマにしているだけに興味深い記事です。

「世界教師が人類の平和を実現する」などと訴える団体(本部・東京都)が岡山市で開いた講演会を、岡山県教委と同市教委、倉敷市教委が後援していたことが分かった。05年に札幌市教委が非科学的内容の行事の後援を取り消した例もあり、専門家は「自治体が内容にお墨付きを与えたと受け止められかねない」と批判している。
 講演会は県内の市民グループが後援申請し、11月3日に開催。費用の補助はないが、催事告知に各教委後援と記載された。当日は団体責任者の女性が「全人類のための世界教師マイトレーヤ」の到来を予言。「地球は新しいアクエリアス星団に入っており、人間の意識が変わる」「原発エーテル界に影響し、若い世代がアルツハイマーになりやすくなる」と訴えた。
 主催した市民グループは環境問題などを中心に活動しているといい、県教委は「グループの活動が地元紙に取り上げられたことも信頼した理由の一つ」と釈明。要綱で教育的見地から奨励するものが対象と定めている岡山市教委の易寿孝・生涯学習課長は「申請資料を検討したが、講演団体に関する調べが足り不適切だった。要綱に照らして大問題だと認識している」と話した。
 札幌市教委は05年、後援を決めたイベントについて外部から「科学的に不確かな内容がある」と指摘を受け調査。「『ありがとう』と文字を見せた水はきれいな形の結晶を作る」などの内容が含まれていたため後援を取り消した。
 大阪大の菊池誠教授(物理学)は「内容は少し調べれば分かるはず。星と人間の意識は関係がなく、エーテルは19世紀の物理学の考えで現代では通用しない。原発アルツハイマーも証拠がなく、安易な後援は問題」と批判。一方、主催グループは「希望が持てる内容で多くの人に聴いてほしかった」とし、講演した団体は「(後援を)要望したことはなく、コメントする立場にない。科学にはいろいろな立場があり、どちらが正しいかはいずれ分かる」としている。【石戸諭】