いつも頂く『Voice』12月号。ありがとうございます。しかし今回の号も充実ですねえ。
ところでとりあえず山形浩生さんの「クルーグマンの景気回復策」。
「そしてインフレターゲット論を口を極めて罵っている一知半解な論者が、ブログで実質金利をマイナスにすべきだと得意げに主張したりする姿も見られる。クルーグマンは基本的に正しいのだ」
とあります。誰なんでしょうか、一知半解の論者って。まあ、それは山形さんにおまかせしましょう。
(補遺)つうかわざわざ実名だしてもせんないことだしねw
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ここでは僕が噂で聞いた一知半解の話をします。
いまの日本は自然利子率がマイナスである(貯蓄超過、過剰債務状態)。だから日本経済の非効率的な企業を淘汰して自然成長率を高めるのだ、という一知半解のケースです。しかもこの噂は、同時に国債や現金保有に課税することで事実上のマイナス金利をすれば淘汰が進みやすくなるといっています。あるいはそれに類した金融緩和政策をすすめています(ゲゼル貨幣など)。これはマイナスの名目金利を実現する方策だといえるでしょう。
わかる人はこれだけ書けばこの噂が何も理解していないことがわかることだと思います。
なぜなら非効率な企業を淘汰して自然成長率を高めることがマイナスの自然利子率にある経済を立て直す →自然利子率をマイナスしたショックは長期的なもの(この期間はみんな死んでない期間がお好きならご勝手にw)→だから対策も長期的な自然利子率のショックを解消する自然成長率を高める政策
でもこの噂(あるいはただの噂が生み出した風説?)は、国債・現金保有への課税、ゲゼル貨幣発行などで実現されるマイナスの名目金利が、このマイナスの自然利子率をもたらした長期的ショックに対していくつかのプラスの影響があるとしている。
そんなことぜ〜〜〜〜んぜんあるわけない。マイナスの自然利子率をもたらすショックが長期的なものならばその対策は自然成長率を高めることになるんでしょう。マイナスの名目金利を実現する政策なんてぜんぜん関係なし(効果があるのは一時的な自然利子率のマイナスショック)。
むしろ(長期的な)マイナスの自然利子率の低下とともにマイナスの名目金利を低下させていけば、まったく自然成長率に影響をあたえないで、まさにインフレだけが加速していく。つまり清算主義者がリフレ派を口をきわめてののしっているリフレが淘汰を邪魔してあげくにはハイパーインフレ(あるいは悪性インフレ)をおこす、という筋書きとまったくお・な・じ。
つまりこの清算主義的一致半解は、ろくに自からの主張も理解してないんですよね〜。でもこの僕が聞いた噂。あまりにもデタラメなんできっとその噂自体がウソじゃないかと思うんですよね。でもそういうウソを信じてしまう人は不幸ですよねw
しかも一番へんなのはその噂では「マイナスの実質金利にするのがいいんだ!」といっているそうです。でもへんなの、マイナスの自然利子率の長期的ショックを自然成長率を高めることで行う真の「目的」は、マイナスの自然利子率(マイナスの均衡実質金利)のショックを解消することなのに わざわざまたマイナスにしてどうするんだろか????*1
清算主義とリフレって水と油なんですよねえ。それを自分の脳内だけで勝手にドッキングさせる人がいたらちょっと大変w
まあ、僕も正直、その噂があまりにデタラメなのでそのデタラメぶりにひっぱられてへんな誤解に誘導されている可能性もありますがw
(補遺)上のような悪性な噂にだまされないためには、まずそういうものを読まない 笑。そしてブログならばここhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080924#p3で紹介させていただいた(僕の主張とは違う方も多く含まれてます)経済系ブログや僕のブログのアンテナやリンク先のソース・ブログ・HPを読まれるのがいいでしょう。