門倉貴史『セックス格差社会』

 働きすぎを解消すれば、僕も年間77.4回セックスの回数が増えるそうですよ(爆)

 まあ、冗談はこれくらいにして本書は上記したワーカホリック、貧困、感情や価値観、そういった諸要素を経済的な切り口から性行為にかかわる問題(セックス、セックスレス、ED、セックス依存症などなど)に結びつけ様々なデータをもとに論じた本である。門倉さんらしいコネタ(崩壊するニューハーフ市場、「別れさせ屋」トラブルなど)も相変わらず豊富である。

セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか?  (宝島社新書)

セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか? (宝島社新書)

 あまりお目にかかれなくなおかつ前からあればいいなあ、と思っていたのが年収別の独身男性がマスターベーションとセックスのどちらで日常の性的処理(一ヶ月の頻度)をしているか、という図。面白いのは年収が低いとセックスの割合が低く、マスターベーションの方が極めて高い。年収の増加とともにマスターベーション曲線は急激に減少カーブを描くが、他方でセックス曲線の上昇カーブはそれほど急激には傾かない。しかし年収500万円以上でこのカーブは交差する。つまり500万円以上仮性でないとセックスを日常の性的処理の方法として採用されないらしい(もちろん365日自慰行為しているわけではないだろうが)。ところがここでさらに注目すべきところは、セックス曲線は今度は年収が増加するに従ってやがて緩やかに下落しはじめる。マスターベーション曲線の方も今度は底から上昇する。結局、所得が高いと日常的な性的処理はセックスとマスターベーションで差異がほとんどなくなる。このV字型の両曲線とその勾配は興味深いなあ。要するに高所得になると性的処理のあり方が多様になるというわけかもしれん(違うかも。データからは読み取れないので妄想乙。