現状の政府の景気対策を考える本

 一時的でしかない減税がいかに効果に乏しいか(しかも大声で要求しているのは与謝野・麻生ら財政再建派=増税中心派、ではなおさら)。一時的な財政政策の効果を実証的に論証し、初心者でも読める水準のものとしては以下の本がありました。いまこそ読まれるべきでしょう。

期待と不確実性の経済学

期待と不確実性の経済学

 それと一時的ではない恒久的な財政政策(と金融政策)が日本に物凄く効果的だ、としてその具体的な手法を示していたバーナンキの本もみなさんお忘れないように。というか必読です。

 「ここでの私の論旨は、日本の金融・財政当局間の協力が、それぞれの政策担当者が単独で直面している問題を解決するのに役立つということです。たとえば、日本銀行による国債の買い入れ額の増加と明らかに一体となった家計と企業に対する減税を考えてみてくださいーーしたがって減税は結果的に通貨創造によってファイナンスされます。さらに、日本銀行が、物価水準目標を公表することによって、景気回復にコミットしたと仮定します。そうすると、マネーの増加の大部分あるいはすべてが恒久的だとみなされます。この計画では、日銀のバランスシートはボンド・コンバージョンプログラム(財務省日本銀行保有の日本国債金利を固定金利から変動金利に転換。財務省が日銀に支払う利払いは、日銀の財務省への納付金で相殺)によって保護され、また国債は日銀によって買い入れされ、民間部門には売却されないため、債務残高についての政府の懸念は緩和されています。さらに、消費者と企業は減税の大きな部分を貯蓄ではなく支出に向けようという意思を持っているはずです。彼らは手元に余分な現金を持っていますが、−−日銀が減税額に等しい額の国債を買い入れるためにーー将来の増税を示唆するような現在あるいは将来の債務償還のための負担は発生しません」(高橋洋一訳、137頁ー8頁)。


リフレと金融政策

リフレと金融政策

 ちなみに、いまの日本の政策手法の現状ですと、finalventさんが高橋洋一さんの論文を詳細に紹介している中にあるように、http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2008/08/post_d6b3.html なんと財務省は日銀とボンド・コンバージョンをやっています! しかも全然、バーナンキが主張している景気対策としてではなく、ただのポケットの入れ替え(=日銀のバランスシートの見た目をよくするだけ。きっと日銀の給料が低下しないためです 半分本気w)として! いやはや、おそれいりました。