最近、ふと思ったこと

 僕の元合コン仲間の黒坂真君の『独裁体制の経済理論』を、自分でも微分しながら読んでるんだけども(笑)、この本の参考文献はなかなかよくておススメ。松尾匡さんもそんなこと書いてたけども。ただそこに青木昌彦氏の本が上っていてそれの日本語原著ぽい本をついでに久しぶり(10数年ぶり?)にちょい読みしてみた。それを読んだ当時は「仕切られた多元主義」から「開かれた多元主義」というシナリオにただ騙されて(笑)そのまま読み過ごしていた。一時期、青木氏の「失われた10年」に関する見解について議論があった記憶があるが、この小冊子の最終部分を読めばだいたい書いてある。まあ、一種の構造問題説であることは明白。ところでこの「開かれた多元主義」だとか新古典派的な貿易理論への反論についての青木氏の議論は、例えば、David Weinsteinの一連の貿易論関係の理論や実証的な論文が対抗ワクチンとして使えたんだなあ、と再度、以下のホームページにあるWeinsteinの業績http://www.columbia.edu/~dew35/3.%20Research.htmlに深く感銘をうけた。青木氏らの「開かれた多元主義」という戯言を解毒する上で、三輪先生やワインシュタインらの議論はもっと光があてられるべきだと思う。しかも三輪先生と違い、ワインシュタインは日銀や財務省の政策にも大きく疑問符をつける業績がある点でも意義があるのかもしれない。というかワインシュタインの業績はこの日銀・財務省批判の文脈での論文に注目がいきすぎているけれども、より政策論的には地味な印象があっても彼らの貿易論関連の論文もその実践的な価値がきわめて高いな‥‥とふと、まわりにあまりにも青木昌彦ファンが多いのでそんなこと思った。